〝おらほのエース〟古里沸く 佐々木投手の快挙 話題持ちきり(別写真あり)

▲ おおふなぽーとに設置された横断幕

 10日のオリックス・バファローズ戦で、プロ野球新記録の13者連続三振と、28年ぶり16人目の完全試合という快挙を達成した千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手。試合から一夜明けた11日も、気仙地区は〝おらほのエース〟の話題で持ちきり。ともに汗を流した人々はプロでの成長と快投をたたえ、佐々木投手にちなんだメニューの提供を始める店も。古里は大いに活気づき、球界を代表する大投手としての飛躍を願っている。

 

野球関係者は驚きと喜びの声

 

 大船渡高野球部OBで、外部コーチとして佐々木投手の成長を1年生の時から見てきた新沼丞さん(60)=大船渡町=は、「感動の一言に尽きる」と喜ぶ。昨年5月の1軍初登板時に直接目にした姿とは「別人に見えた」とし、「リラックス状態でマウンドに向かうことができている。力感がないのに、すごい球がいく。理想中の理想のピッチング」と成長ぶりに目を細めた。今後に向けては「やはり、けがをしないこと。チームを勝利に導き、安心感を与えるような投手となって、チームに良い循環をもたらしてほしい」と期待を寄せる。
 猪川小、大船渡一中、大船渡高校と同じチームで汗を流した同級生の今野聡太さん(20)=盛岡大学=は、「すごいとしか言いようがない。昨シーズンに比べて投球の精度が高く、ハートも強くなったようで、野球を楽しんでいるように感じた」と祝福。試合後には「おめでとう」「けがに気をつけて」とメッセージを送ったという。自身も今年から大学の硬式野球部に入部。「刺激になります」と成長を誓う。
 大船渡高野球部OBでつくる「朗希を応援する会」の千葉博光会長(67)=猪川町=は「記録ずくめの投球。ただただ驚いた。朗希君の頑張りはもちろん、じっくりと育ててくれた首脳陣に感謝したい。けがをせず息の長い投手になってくれれば」と語る。
 佐々木投手が小学生時代に所属した猪川野球クラブ主将の千葉恭佑君=猪川小6年=は、「プロに入っただけでもすごいことなのに、歴史に残る活躍をしたのもすごい。これからも速い球を投げて、いっぱい三振をとってほしい」と目を輝かせた。
 大船渡市観光物産協会(齊藤俊明会長)と、昨年発足した大船渡アスリート応援団(団長・戸田公明大船渡市長)は11日、大船渡町のおおふなぽーとに「朗希投手凄い!完全試合達成おめでとう!」と記された横断幕を設置。南向きの2階部分に掲げ、千葉に向かって祝福の思いを発信した。
 横断幕は縦60㌢、幅6㍍。快挙を受け、同日午前に協会職員が急きょ作成し、午後3時前から取り付けた。戸田市長は「市民はもとより、国内外多くの人々が感激した。その偉業は『凄まじい』との形容が加わるほど素晴らしく、大きな感動とともに、元気と勇気を与えていただいた。子どもたちにとって、夢と希望につながるもの」とのコメントを寄せた。

〝朗希フェア〟活気づく店々

 

19奪三振にちなみ、19円でソフトクリームを販売した陸前高田市の「すなば珈琲」

 陸前高田市気仙町の道の駅高田松原内にある「すなば珈琲」では、「1試合13連続、19奪三振」にかけて11日、〝13時〟から1個〝19円〟でソフトクリームを販売。通常370円の「濃厚ミルク味」が破格で食べられるとあって、開始前から20人以上が列をなし、限定100個が同日のうちに完売した。
 市内在住で、息子2人が佐々木投手も所属した高田スポ少の後輩にあたるという板林恵さん(42)は、「子どもたちも食い入るようにニュースを見ていた。古里でもお祝いをするほど喜び、みんなで応援していることが本人にも届けばうれしい」と話していた。
 同市高田町のアバッセたかた内にある伊東文具店では、佐々木投手と大谷翔平選手の特設コーナーを通路から見えるように移動。コーナーの上には、「祝完全試合達成!!」といった文字や、奪三振数を表すポップを取り付けた。
 同店を営む㈱山十の伊東孝代表取締役(68)は、「佐々木朗希選手を応援する会」の会長も務めており、「プロの世界でそうそうないことが起こり、改めて力のある選手だと実感した。リーグは始まったばかり。1年間けがをせず投げ続け、気仙に明るいニュースを届けてほしい」と声援を送る。
 応援する会は今月8日から会員を募集。10日の試合終了後から11日にかけて問い合わせや会員登録件数が増えたという。次回の登板が予想される17日(日)までに市役所に今回の快挙を祝う横断幕を掲揚する準備も進めている。

大船渡市の「そば処櫻亭」は佐々木投手が高校時代に食べていた肉そば(冷)とげそ唐揚げをセットで13日から期間限定で提供

 大船渡市赤崎町の「そば処櫻亭」(山﨑亮輔店長)では、佐々木投手が大船渡高校時代、練習帰りによく食べていた「肉そば(冷)」と現在はメニューにない「(イカ)げそ唐揚げ」をセットで13日(水)から期間限定1000円で提供する。
 山﨑店長(23)は「おいしそうに食べてくれて、うれしかった。先輩後輩関係なく誰にでも愛想が良く、優しく接していたのが印象的」と振り返る。
 同店を経営する㈱アカツキ観光の栗村紀孝フードサービス事業部営業統括部長(43)は、亡くなった父・幸雄さんが大船渡一中時代の佐々木投手を指導した縁があり、高校時代にはよく試合を観戦した。「こんなに早く大活躍するとはびっくり。朗希君懐かしのメニューを食べて一緒に応援し、大船渡が盛り上がってほしい」と願う。