買い物ゆっくり楽しんで 高齢者の外出後押し 市が本年度もスローショッピング事業実施
令和4年4月16日付 3面

陸前高田市は本年度も市内高齢者らがゆっくりと買い物できるよう、市民ボランティアが付き添う「スローショッピング」事業を実施している。閉じこもりがちな高齢者の外出や交流の機会を増やそうという2年目の取り組みで、初年度(昨年7月~今年3月)は延べ62人が利用。今後も変わらず毎週木曜日にアバッセたかたで実施し、見守り役のボランティア育成研修を開催するなどして人員の充実も図る。(高橋 信)
毎週木曜 アバッセで
利用者向けのスタンプカードが埋まり記念品贈呈も
本年度2回目の14日は、市内の女性2人が利用。「パートナー」と呼ぶ見守りボランティア2人や市担当職員と会話を弾ませながらスーパーマーケット「マイヤ高田店」で食材などを買った。
同日は、利用するたびにスタンプ1個がもらえる専用カード1枚分、計8個のスタンプを集めた高田町の渕元チヨ子さん(79)への記念品贈呈も。カード更新は1人目で、アバッセたかた代表法人・高田松原商業開発協同組合の伊東孝理事長が菓子と手作りマスクを手渡した。
月2回のペースで利用しているという渕元さんは「一人では持てない品物をまとめて買い物でき、話をしながら店内を回れるのもいい。ありがたいサービスで今後も都合のいい日に利用したい」と話した。
事業は同市の高齢化、要介護者の増加などを踏まえ、昨年7月、アバッセ入居事業者や市社会福祉協議会などとの協働で開始。パートナーを養成する講座やアバッセ従業員向けの研修も行った。
市によると、令和3年度は計33日実施。利用者は実人数で20人で、1日当たり最大6人だった。買い物をせずに市職員らに介護や生活の悩みを相談する「サロン」のみの利用は延べ23人だった。
パートナーとして登録しているのは10人。実施時間帯、アバッセ内のパブリックスペースに「くつろぎサロン」と書かれた看板を置いて待機している。高齢者は時間内に現地で申し込めば、パートナーのサポートを受けながらアバッセ内全館で自由に買い物できる。ただし、パートナーによる買い物の代行はしない。
市は6月、パブリックスペースで養成講座を2回開く。今後もモデル店舗に位置づけるアバッセで取り組みを継続し、人員体制の強化、ニーズ把握のうえ、実施店舗拡大を検討していく。
事業に協力する高田松原商業開発協同組合の伊東理事長は「スローショッピングをきっかけに一人でも多くの人にアバッセに来ていただき、買い物を楽しんでもらいたい。移動手段確保など課題もあるが、地道に続けながら徐々に活動が広がっていけばいい」と期待する。
実施日時は、毎週木曜日午後1時~3時。利用無料で、予約も不要。問い合わせは、市地域包括支援センター(℡54・2111内線219)へ。