持続的なまちへ出発進行 試乗会で市民らにPR 低速電動ミニバス・グリスロ 30日から運行(別写真あり)

▲ 30日の運行開始を前に市民ら向け試乗会があり、中心市街地をゆっくりと走行した車両

 陸前高田市の一般社団法人・陸前高田グリーンスローモビリティ(小出浩平代表理事)は30日(土)、環境に優しい低速型の電動ミニバス「グリーンスローモビリティ(グリスロ)」の運行を始める。導入は高齢者の生活の足確保と中心市街地への観光誘客が狙い。16日は高田町の商業施設「アバッセたかた」そばで出初式と試乗会が開かれ、市民らが新たな移動手段の乗り心地を確かめた。同法人は車両の愛称を募っており、17日に運転手募集の説明会も開く。(高橋 信)

 

きょう運転手募集説明会

 

「出発進行」。グリスロに試乗した子どもたちが声を合わせた

 出初式には、車両2台を購入した市や同法人関係者らが出席。戸羽太市長は「グリスロで高齢者が移動しやすくなり、観光客にまちなかに寄ってもらえるような環境が整えばいい。一人でも多くの人に乗ってもらい『みんなのグリスロ』にしていきたい」と語った。
 その後は試乗会が行われ、アバッセたかた周辺を走行。1台は黄緑色、もう1台はオレンジ色と存在感を放ち、親子連れなどが試乗した。
 大和田梨沙さん(43)=米崎町=は「あまり揺れなくていい乗り心地でした。車内で高齢者や観光客による交流が生まれるようなものになってほしい」と期待を述べた。息子の航世君(3)は「楽しかった。今度は緑色の車に乗りたい」と笑顔を見せた。
 グリスロは時速20㌔未満で公道を走行できる4人乗り以上の電動モビリティを指す。同法人は市内企業・団体など5者が3月に設立し、市から車両の無償貸与を受け、運行業務を担う。
 土・日曜日、祝日は、観光客向けに道の駅高田松原や陸前高田発酵パークカモシー、ワタミオーガニックランド、中心市街地を巡り、500円で1日乗り放題。午前9時から午後4時30分まで30分間隔で運行する。
 一方、平日は高齢者や障害者を含めた市民の移動の足としての活用を想定。気仙町の災害公営住宅・市営今泉団地と中心市街地を結ぶ「今泉団地循環線」と、高田町の災害公営住宅・市営中田団地と同町、米崎町の商業施設などを回る「中田団地循環線」の2路線で、ともに運行は1日5便ずつ。運賃は1乗車につき100円としている。
 車両の愛称は5月15日(日)まで、市民や市内に通学・通勤している人を対象に募集する。応募方法は、インターネットの専用フォーム入力、メール(info@rtse.jp)、ファクス(53・2117)のいずれかで、▽氏名▽年齢▽住所▽電話番号▽愛称(一つのみ)、愛称に込めた思い──を記載する。
 愛称は5月中に決定する。採用者にはグリスロに1年間無料で乗れる年間パスポートと、地域ブランド米「たかたのゆめ」(5㌔)を贈呈する。
 運転手募集の説明会は17日午前10~11時30分、高田町の市コミュニティホールで開かれる。参加対象は▽普通自動車免許を持ち、運転やコミュニケーションが好きな人(2種免許や経験の有無不問)▽26歳以上──。一定期間の研修を経て、適正があると認めた人を運転手(報酬あり)として採用する。
 市は国の「SDGs未来都市」に選定されており、高齢化、人口減が進む中、誰もが住みやすいまちを目指し、グリスロの導入を検討。令和元年度、2年度には実証実験を実施し、利用者の声を参考に効果を検証してきた。
 小出代表理事は「構想から3年ほどがたつ。30日からの運行はあくまでスタートで、これからも皆さんから意見をいただきながら、車両を3台、4台と増やしていき、みんなから愛されるグリスロにしていきたい」と展望する。
 問い合わせは、同法人事務局(℡080・6378・7876)へ。