数量増も金額前年割れ 県沿岸のイサダ漁 今季も約半数が大船渡に

▲ 今季は3年ぶりに2月の水揚げがあったイサダ漁=大船渡市魚市場

 大船渡市魚市場での水揚げをはじめとした県沿岸の今季イサダ漁は、13日で終了した。大船渡の実績は県全体の半数を占め、数量は昨季を上回ったが、単価は落ち着いた動きとなり、金額は下回る結果となった。
 イサダはツノナシオキアミの別称で、主に養殖や遊漁の餌として流通。例年2月下旬から3月上旬に解禁され、漁況が良ければ4月末ごろまで水揚げが続く。
 水揚げのカゴは桜色であふれ、春の魚市場を色鮮やかに彩り活気をもたらす。養殖用の餌や、レジャー向けとしての需要に加え、県内では近年、健康成分を生かした付加価値向上に向けた取り組みも進む。
 同魚市場での今季初水揚げは2月24日。3年ぶりに2月中の初日となり、24隻が30㌔入りカゴ合わせて5156個、計約155㌧を水揚げした。
 2月中に200㌧を超える日も出たほか、3月上旬は安定的な水揚げが続いた。後半は気仙から漁場が離れるなどしてばらつきが見られ、4月も水揚げがあったが少量に終わった。
 県水産技術センターの水産情報配信システムによると、県全体の実績は数量が5135㌧で、金額は3億4887万円。昨年比では数量は1・7倍となったが、金額は55%にとどまった。
 このうち、大船渡は数量が2433㌧、金額は1億7673万円で、いずれも約半数を占めた。昨年比では数量は1・6倍に伸びたが、金額は54%となった。
 資源量減少などを受け、昨季は1㌔単価が200円台とかつてない高値で推移。今季は70円台で落ち着いた。
 中長期的な資源確保を見据え、今季の岩手、宮城両県の漁獲枠は各9000㌧に設定。漁船漁業者が中心となって協議した結果、これまでの各1万5000㌧から4割に上る大幅減で合意した。
 県内のイサダ漁は平成30年、31年と1万㌧台で推移したが、令和2年に1561㌧に激減。今季は2年連続で増加したが、低水準が続いている。
 今季操業した第二十一志和丸の船頭で、県沿岸漁船漁業組合の志田惠洋組合長理事=大船渡市赤崎町=は「多くの人は冷水が来ればイサダが取れると思うだろうが、冷水が岸に寄っても十分に漁獲できる量になることが少なかった。やはり、以前よりは資源量は減少しているのではないか」と振り返る。
 その上で「資源管理に向け、漁獲枠を大幅に減らす判断は間違っていないと思う。今後は海況を見極めた上で解禁時期を決めるといった検討も大事になっていくのでは」と話す。