市街地に待望の局舎再建 陸前高田郵便局が開局 震災で全壊 仮設で営業
令和4年4月19日付 7面

東日本大震災の津波で全壊し、陸前高田市高田町の中心市街地に再建された陸前高田郵便局(及川裕昭局長)は、18日に開局した。市内2カ所に仮設店舗を設け、窓口業務と郵便業務の2機能を分けて展開してきたが、震災から11年1カ月を経て待望の局舎がまちなかに完成し、一体的にサービスを提供していく。(高橋 信)
利便性向上へ 社員思い新た
店舗の再建を祝い、代表者によるテープカットも
18日は同局の再出発を祝うかのような青空に恵まれ、現地で行われた開局セレモニーには関係者約10人が出席。日本郵便㈱東北支社(宮城県仙台市)の小野木喜惠子支社長は「末永く地域に愛される郵便局を目指す。今後も郵政事業を通じて復興の後押しができるよう地域の人と手を携えていく」とあいさつした。
戸羽太市長も「市民の利便性、住みやすさの向上、地域全体の活性化につながる」と開局を喜んだ。
テープカット後、営業が始まり、市民らが続々と訪れた。ATMの利用で訪れた矢作町の亀本麻衣子さん(35)は「買い物のついでに立ち寄ることができ、とても便利になる。いろいろな建物ができてまちの雰囲気が明るくなってきていいですね」と話した。
同局は高田町の旧市街地にあったが、津波で全壊し、社員13人が亡くなった。発災1週間後に市内公民館を間借りし、郵便業務を再開。翌月の平成23年4月に同町鳴石に仮設店舗を、同年10月に竹駒町に郵便分室を整備し、営業を続けてきた。
新店舗は鉄骨造平屋建てで、広さは旧店舗と同規模の約1600平方㍍。社員52人を配置する。
同支社によると、本県では全432局(直営308局、簡易124局)のうち、49局(直営33局、簡易16局)が被災した。陸前高田郵便局を含め、これまでに新築や仮設店舗などで43局が営業を再開した。
陸前高田市内には11局あり、休止中は今泉郵便局のみ。プレハブで営業を続ける竹駒町の竹駒郵便局は今後、本設店舗の建設を目指す。
及川局長(54)は「中心市街地に局舎を構え、これまで分けていた窓口、郵便業務を一体的に提供できることをうれしく思う。市民の役に立てるよう社員一同頑張っていく」と決意を語った。