気仙の観光シーズン幕開け 氷上山で山開き 市内外の人々が自然満喫(別写真あり)
令和4年4月24日付 7面

陸前高田市の氷上山(874㍍)は23日、山開きを迎えた。シーズンを心待ちにしていた気仙内外の登山者らが山頂を目指して歩き、季節の移ろいを感じさせる山中の景色や眼下に広がる復興の市街地、広田湾の眺めを楽しんだ。(阿部仁志)
同市の北端に位置する氷上山は、昔から登山や憩いの場として市民に親しまれている。頂上の東の御殿には「衣太手神」、中の御殿には「登奈孝志神」、西の御殿には「理訓許多神」の3社が祭られ、信仰の歴史も深い。
山開きを迎えたこの日、「すずらん」「中央」「玉山」の各登山口から頂上へと続くコースには、朝早くから登山者の姿が見られた。午前中はあいにくの天気となったが、木々の合間から見える市街地や海、彩り豊かな山野草などに目を向けながら、この時期ならではの景色を心ゆくまで楽しんだ。
9合目にある祈祷ヶ原は、休憩や昼食を楽しむ人たちでにぎわう場所。山開きの日は市観光物産協会などによる豚汁提供が恒例となっているが、新型コロナウイルス対策で昨年に引き続き見送られ、例年より静かな光景が広がった。
高田町の丹野紀雄さん(79)は「高田小学校時代は遠足で来たもの。きょうは古希のときに同級生と一緒に登って以来で、景色の移り変わりを感じた。80歳手前でのチャレンジだったが、思ったよりも歩くことができて良かった」と笑顔を広げた。
竹駒町の小田マツ子さん(70)は「ヤマスミレや、名前は分からないけれどきれいで小さな青い花など、さまざまな植物を見ることができて楽しかった。来年は、祈祷ヶ原にたくさんの人たちが集まり、にぎわっている光景が見たい」と願っていた。
市や市観光物産協会では、水分補給や熊よけ鈴の携行、天候対策などに加え、新型ウイルス対策に十分留意しながら登山を行うよう呼びかける。
同日は高田町の氷上神社(熊谷守宮司)で山開きの神事も実施し、関係者がシーズン中の無事故を願った。