「ダブルバーガー」限定販売 大船渡店10年の節目に合わせ 県内店舗で5月1日まで モスバーガー(別写真あり)

▲ 県庁を表敬訪問し、限定商品を紹介した中村社長(写真右)=盛岡市

きょうから販売される「なりもす・ダブルバーガー」

 モスバーガーを展開する㈱モスフードサービス(中村栄輔代表取締役社長、本社・東京都)は27日から、東日本大震災復興のメモリアル店舗と位置づけるモスバーガー大船渡店の開店10周年と、創業50周年を記念した新商品「なりもす・ダブルバーガー」を県内限定で販売する。モスバーガーは盛町出身の故・櫻田慧氏が創業し、大津波で流失した陸前高田店の思いも乗せて、平成24年に待望のオープンを果たした大船渡店。創業当時のメニューを現代風にアレンジし、夢を持ち続け、苦難を乗り越えた情熱を込める。(佐藤 壮)

 

創業・復興の思い乗せて

 

 販売開始に先立ち、中村社長らが26日に県庁を表敬訪問し、達増拓也知事に商品を紹介。味わった達増知事は「モスバーガーのおいしさは世界有数。ファストフードの枠に収まらないクオリティーの高さがある。大船渡店のオープンだけでなく、岩手の食材も活用し、復興とともに歩んでいただいている」と語り、笑顔を見せた。
 モスバーガー創業者の櫻田氏は、昭和12年1月に盛町で生まれた。証券マン時代に米国でハンバーガーに出合い、自らの信念を貫き、立ちはだかる壁を乗り越えて事業を立ち上げ、昭和47年にモスバーガーの1号店を東京・成増にオープン。その後、一大チェーンを展開し、平成9年5月に60歳で亡くなったが、現在も国内外で1700店を有する。
 震災前、気仙では陸前高田店が高田松原に近い国道45号沿いにあったが、大津波に呑み込まれ店舗が流失。再開は断念したものの、発災から1年余りが経過した24年4月27日、立根町の国道45号沿いに大船渡店がオープンした。
 今回の限定商品「なりもす・ダブルバーガー」は、大船渡店の開店10周年と、モスバーガー創業50周年を記念したもの。5月1日(日)までの5日間、大船渡店を含む県内のモスバーガー12店舗で1個660円で販売される。
 代表メニューである「モスバーガー」をベースに、さらにパティ(肉)や玉ねぎ、ミートソースを乗せ、レタスも添えて挟んだ食べごたえのある一品。モスバーガーやテリヤキバーガーなどは創業初期から販売を続けているが、ダブルバーガーは現在は販売していない唯一のハンバーガー商品という。
 現代風のアレンジも加えており、成増店で今年3月に限定販売したところ、1日に900個以上売り上げるなど人気を集めた。創業時の思いを伝える特別な商品として、創業者の古里でも期間限定で販売しようと準備を重ねてきた。
 中村社長は、人や自然を愛した櫻田氏の情熱に触れながら業務にあたり、10年前の大船渡店整備時にも特別な思いを寄せ、被災者らがゆったりと過ごせる空間づくりを目指した。「27日からの販売は、非常に楽しみ。創業者の気持ちをしっかりと伝えていきたい。大船渡から創業者が生まれなければ、モスバーガーも生まれなかった。皆さんに喜んでいただきたい」と話していた。