陸前高田の活性化を応援 ピーカンナッツの商品開発へ 県立大生のプロジェクト始動  

▲ 陸前高田の関係者らの講話を聞く学生

 陸前高田市が生産基盤や市場の形成に取り組む北米原産のピーカンナッツをPRし、地域活性化に貢献しようと、県立大学(鈴木厚人学長)の学生による商品開発プロジェクトが動き出した。同市やピーカンナッツの魅力を学びながらアイデアを練り、7月末の審査会で優秀作品を選定し、その後発表する。今夏、ピーカンナッツの加工・販売施設を同市にオープンさせる老舗チョコレートメーカー㈱サロンドロワイヤル(本社・大阪市、前内眞智子代表取締役社長)に提案し、商品化を検討していく。(高橋 信)

 

ピーカンナッツの市場形成に向けた取り組みなどを説明する前内社長

 プロジェクトは、同大と盛岡駅ビルフェザンが平成27年度から毎年実施しており、本年度前期はピーカンナッツをテーマに据えた。同大総合政策学部3年生114人が4人で1チームをつくり、7月まで全15回の講義を通して新商品を考える。
 27日はプロジェクト始動に当たり、まずは陸前高田市の状況を学ぼうと、関係者を講師に招いての講義が県立大で行われた。前内社長や市商政課ブランド推進係の遠野正隆係長、陸前高田商工会の伊東孝会長、市観光物産協会の木村昌之会長の4人が講話した。
 前内社長はプロジェクトやソーシャルビジネスの意義を説明。「社会に出る前に自身のキャリアをどう築いていくかよく考えてほしい」と呼びかけた。
 伊東会長は震災後のまちづくりを振り返ったうえ、「皆さんのアイデアから『陸前高田といえばこれ』という銘菓が生まれてほしい」と期待した。
 講義を受けた大川原優介さん(20)は「陸前高田の課題を知ることができた。商品開発に頑張って取り組む」と意欲を語り、武田香乃さん(20)は「健康にもいいという特長を生かし、幅広い世代の人に食べてもらえるような商品を考えたい」と話した。
 ピーカンナッツはクルミ科の果樹で、高い抗酸化作用があり、アルツハイマー病予防に有効とされる。市は震災からの農業再生、地方創生につなげようと、東京大学、サロンドロワイヤルと連携し、ピーカンナッツによる産業振興に取り組んでおり、産地化に向けて苗木の試験植樹・栽培も行っている。
 同大総合政策学部の高嶋裕一学部長は「学生チームは、学部内に三つある専門コースが極力重ならないよう編成した。各コースの専門知識を生かしつつ、柔軟に考えていってほしい」と注文した。
 前内社長は「陸前高田の銘菓となるような構想を聞ける日が待ち遠しい。ピーカンナッツプラスワンといった、もう一つ陸前高田ならではの要素を組み合わせたアイデアをお待ちしている」と期待した。