二大七夕 3年ぶり開催へ 8月7日の伝統行事 気仙町「けんか」 高田町「うごく」

▲ 昨年は簡易な山車を展示するなど代替行事を行ったけんか七夕。今年は例年通りの造り方で1台を製作し、町内を練り歩く見通し
▲ うごく七夕は昨年、各祭組が山車の展示などを実施した

コロナ禍で昨年まで中止

 

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止が続いていた陸前高田市の夏の伝統行事、気仙町今泉地区の「けんか七夕」と高田町の「うごく七夕」が、8月7日(日)に3年ぶりに開催される方向となった。昨年まで2年間、苦渋の決断を強いられた祭り関係者は、規模縮小するなど感染対策を講じたうえ伝統をつなぐ。(高橋信、阿部仁志)

 

 けんか七夕を主催する「気仙町けんか七夕祭り保存連合会」(佐々木冨寿夫会長)は今月上旬、会合を開き、開催の方針を決めた。
 山車1台を製作し、今泉地区内を練り歩く計画。山車2台をぶつけ合うメインの「けんか」は見合わせる。
 フジのつるでかじ棒をくくりつけるなど山車の製作には例年、地元住民が世代を超えて参加し、作業を通じてベテランから若手に組み方を引き継ぐのが習わし。今年は若手に作業を経験してもらう意味合いを込め、1台のみ製作することとした。
 約900年の歴史を持つと伝わるけんか七夕。東日本大震災で四つの祭組がそれぞれ所有していた山車は、1基を残して流失。住民自身も自宅を流され、市内外に散り散りとなった中で祭りを継続してきた。
 一昨年、昨年はコロナ禍の影響で中止。昨年は簡易な山車を造り、住民向けに代替行事を行った。
 佐々木会長(68)は「山車と山車をぶつける『けんか』こそ、自分たちの本来の祭りだが、やむを得ない。2年のブランクがあり、1台のみでも製作し、若い人たちに伝統をつなぐのも大切。地域のお力も借りながら準備していきたい」と見据える。
 一方、「うごく七夕」実行委員会(横田祐佶会長)は27日夜、高田町のコミュニティホールで会合を開き、コロナ禍に対応しつつ、祭りを開催する方向で協議を進めることを決めた。
 10祭組の代表らが出席。祭り開催に対し、7祭組が山車を製作しての参加、または実行委の判断に委ねる考えを示した。「山車の製作は難しい」としつつ、太鼓演奏や、祭り伝統の赤い竹飾り「ナンバン」を立てるなどの形で参加へ意欲的な祭組もあり、開催する方針を決めた。
 感染対策など詳細は今後の協議で決める。感染状況を注視し、7月に開催可否を最終決定する見込み。
 うごく七夕は、盆の先祖供養のために始まり、江戸時代からの歴史がある伝統行事。震災では山車12基のうち9基が津波に流される被害を受けたが、行事を継続してきた。
 直近2年はコロナ禍の影響で中止。この期間は、各祭組がそれぞれの地区でおはやしやナンバンの設置などを行って伝統をつないだ。
 高齢化や人口減少に伴い、山車の作り手、引き手が不足している祭組があることなど、コロナ禍前から叫ばれてきた課題もある。こうした中、会合では「3年連続中止は避けたい」「高田の伝統を絶やしたくない」という前向きな意見が多く聞かれた。
 横田会長(79)は「少なくとも昨年並み、昨年より一歩先に進みたいと思っていた中での決定。コロナ以外の課題も見直していく時期にあり、従来の考え方にとらわれない、時代に合った〝新しい形〟の祭りを皆で作り上げていきたい」と話している。