黄金ロマンも指輪に込め 材料の砂金採りに挑戦 結婚控える大阪のカップル 地元関係者企画のツアーで

▲ 「思いの詰まった指輪を作りたい」。陸前高田で砂金採取に挑戦している福田さん㊨と小瀬さん

 黄金文化を誇るみちのくで、唯一無二の指輪のため「金」を探す浪漫──。大阪のカップルが結婚指輪の材料に用いようと、陸前高田市や宮城県涌谷町で砂金採りに挑戦している。両市町は産金の歴史などを伝える文化庁の日本遺産に認定されており、2人の思いに応えた地元関係者がツアーを企画。2人は受け入れに感謝しながら「世界に一つだけの指輪にしたい」と張り切っている。(高橋 信)

 

 砂金採りに挑戦しているのは、大阪府八尾市在住の会社員・福田守雄さん(34)と公務員・小瀬千晶さん(32)。4月29日、日本で初めて金が産出されたとされる涌谷町を訪れ、同30日から陸前高田市に場所を移して体験している。
 共通の趣味のアウトドアをきっかけに交際を始めた2人。今年8月に入籍、10月に東京で挙式を予定している。「思いの詰まった指輪を作りたい」と、自分たちで砂金を採って材料にできないか調べてきた。
 インターネットで、陸前高田市を含む岩手、宮城両県5市町が認定された日本遺産「みちのくGOLD浪漫」の存在を知り、5市町でつくる推進協議会(事務局・涌谷町)に相談。大型連休に合わせた採取ツアーが企画された。
 陸前高田市では、同市や涌谷町の教育委員会担当者案内のもと、矢作町の雪沢金山跡近くを流れる沢などで採取に臨んだ。水底の砂を「ゴールドパン(選鉱パン)」という専用の道具ですくい、砂金を見つけると歓声を上げた。
 小瀬さんは10年近く前の大学院生時代に、東日本大震災で被災した同市の応急仮設住宅を訪れ、専門の栄養学に関する講話をした経験がある。
 「まさかこのような形で再び陸前高田を訪れるとは思いもせず、縁を感じる。復興が進み、きれいなまちができていて驚いた」と話し、「採取に協力していただいた地元の方々の思いに感謝しかありません。この体験こそ2人にとって何よりの思い出になりました」と感謝した。
 福田さんは「人の温かさを感じるツアーだったし、砂金採りの楽しさに目覚めた。一粒でも砂金を多く見つけたいし、いつかまた陸前高田や涌谷に遊びに来たい」と笑顔で語った。
 2人は5日(木・祝)まで同市に滞在する予定。結婚指輪は、福田さんの母から譲り受けた金の指輪と砂金を使って作る。
 同市教委管理課の曵地隆元学芸員(46)は「砂金採りツアーは、日本遺産を楽しみながら知ってもらううえで有効的なアトラクション。今後も構成市町で連携しながらPRしていくようツアー充実への検討もしていきたい」と意気込む。