医療的ケア児の橋渡し役を 大津医院の大津修医師 〝新天地〟でも思い変わらず 

▲ 「小児ケア全般の橋渡し役、つなぎ役も担いたい」と話す大津医師

 きょう5日は「こどもの日」。昨年度まで県立大船渡病院小児科長を務めた大津修医師(57)は、4月から同病院の非常勤医を続けながら大船渡市盛町に構える大津医院を拠点とし、医療的ケアを必要とする子どもたちや家族の支援などに意欲を見せる。地域の訪問看護機関と連携した在宅医療や、悩みを抱えがちな発達障害へのケアにも力を入れる方針。「多職種が連携し、地域で支える体制の橋渡し役を担いたい」と力を込める。(佐藤 壮)

 

連携見据えた発達障害支援も

 

 大津医師は盛岡市生まれ。盛小、大船渡一中から盛岡一高、岩手医大に進んだ。その後、小児科医として県内外の医療機関に赴任。平成17年から、県立大船渡病院小児科の常勤医として勤務した。
 4月から拠点とする大津医院は、母で院長の定子さん(83)が昭和54年に開業し、子どもたちに向き合い続けた。医院は毎週月〜土曜日に診療し、4月からは大津医師が月曜日と金曜日の午前・午後、火曜日と木曜日の午前に診療。定子さんが水曜日の午前・午後、木曜日の午後、土曜日の午前を担当する。
 子どもが発熱した時の受診はもちろん、各種予防接種や健診対応など、地域になくてはならない開業医。大津医師は従来の役割に加え、医療的ケア児や慢性疾患の管理、発達障害への対応など、時代の変化に沿った対応も見据える。
 「診断の幅は広がっている。町医者の役割は、地域の健診や学校医の立場も大きい。県立病院では受診を待つ状況だったが、今後はこちらからアプローチすることができる」と語る。医院勤務に加え、現在も週2回、大船渡病院小児科の非常勤医を務める。
 大学病院勤務時は小児循環器を専門とし、日本小児科医会による地域総合小児医療認定医でもあるほか、長年にわたり気仙の小児医療の現状にも向き合い続けた。気仙地域障害者自立支援協議会児童部会の医療的ケア児支援推進ワーキンググループでは、代表を務めてきた。
 気仙にも、家庭内で器具を装着し、自宅から外出しての受診が難しい医療的ケア児がいる。昨年末、サンタクロースに扮して訪問し、家族を元気づけた。病院常勤医時代と同様に、訪問診療にも力を入れ、看護機関との連携強化も見据える。
 「重症児のケアは子どもそのものを診るというよりも、家族全体に目を配ることが大事」。本年度中には、医院を「ファミリークリニック」であることを示す名称に改めることにしている。
 発達障害の子どもに対し、医療、教育、福祉など各分野が連携する重要性も実感。「家庭の中だけで悩んだり、教育や福祉、それぞれの分野だけで解決を目指す動きがあった。大事なのは横の連携であり、課題の共有が重要」と語る。
 新たな環境に身を置いて1カ月を迎えたが「まだまだ慣れないことばかり」と笑う。「長期的には、災害医療についても考えなければならないと考えている。子どもたちの気になる部分に対応し、地域医療を支えたい」と、今後を見据える。