初夏の味覚 ウニ漁口開け 大船渡湾内でスタート 現品入札も実施(別写真あり)

▲ 箱メガネで海中をのぞき、ウニを捕る漁業者=大船渡町

 大船渡湾内で9日朝、気仙沿岸のトップを切ってウニ漁が始まった。この日は波の影響などを受けて数量は伸びなかったが、集荷場には現品入札に向けてつややかな身が次々と持ち込まれ、関係者は今後の漁に期待を込めた。気仙沿岸のウニ漁は、今月後半からの本格化が見込まれる。(佐藤 壮)

 

数量伸びずも「これから」

 

集荷場には、つややかな身がズラリ=赤崎町

 例年、大船渡湾内では大船渡市漁協の赤崎、大船渡両支所が現品入札のウニ漁をこの時期に実施。東日本大震災後は、平成27年から毎年行っているが、一昨年は新型コロナウイルスの経済面への影響で買い手の動向が不透明だったことから現品入札を見合わせ、昨年は再開した。
 本年度は第1期が9〜13日、第2期は18〜22日と設定。初日は、午前5時30分から小型船が漁を始めた。大船渡町の下船渡漁港付近には十数隻が並び、箱メガネで海中をのぞき込み、タモ網を巧みに操って捕っていった。
 漁業者からは「濁っていてよくない」といった声が聞かれ、数十分で切り上げて別の漁場に向かう姿もあった。各漁港では水揚げされたウニの殻むき作業が行われ、赤崎町の集荷場では、黄色いつややかな身がズラリと並んだ。関係者は品質を見定めながら、10日以降の漁況や、湾外含めた今後の水揚げ増に期待を込めた。
 漁を終えた同町の赤坂佳一さん(72)は「数日前から波が入ってきていた影響で見えず、きょうは少ない。身の状況は、まずまずでは。もっと水温が高くなり、餌の食いつきも良くなってくるだろうから、これから上がってくるのでは」と話していた。
 現品入札が行われた県漁連南部支所などによると、初日の水揚げ数量は42㌔。昨年よりも38・4㌔少なかった。1㌔当たりの金額は730〜9800円で、最高値は昨年比で1400円下回った。
 気仙地区を対象とする今月後半分の生ウニ事前入札会は、13日(金)に同支所で開かれる。上場を受け、湾外や気仙の各漁協でも開口となる見込み。例年、気仙沿岸のウニ漁は8月まで行われる。