高齢運転者対策を強化 あす改正道交法施行 サポカー限定免許など導入

▲ 大船渡署では高齢運転者対策を強化した改正道路交通法について紹介するポスターなどを掲示し周知を図る

 13日(金)から、高齢運転者の事故防止対策などを盛り込んだ改正道路交通法が施行される。75歳以上で一定の違反歴があるドライバーは、運転免許更新時に運転技能検査(実車試験)の受検が義務づけられ、検査に合格しないと免許の更新ができないようになるほか、自動ブレーキなどの機能を搭載した車のみ運転できる「安全運転サポート車等限定条件付免許」が導入される。高齢者の免許更新の条件をより厳格にする一方で、加齢により運転技能に不安を抱えながら、日常的に車を使う人や免許返納に悩む人へ新たな選択肢を提示し、高齢運転者が原因となる交通事故防止を図る。
 今回の改正では、▽高齢運転者対策の充実・強化を図るための規定の整備▽運転免許の受験資格の見直し等に関する規定の整備▽運転免許等に関する手数料(標準額)および自動車の積載制限の見直し等──を実施。中でも、高齢運転者対策においては、運転技能検査(実車試験)制度と安全運転サポート車等限定条件付免許の2点が新たに導入される。
 運転技能検査は、75歳以上のドライバーで過去3年間に一定の違反歴がある人の免許更新時に義務づけられるもの。認知機能だけでなく加齢による運転技能の低下に着目した対策も必要であるという観点で導入され、従来の高齢者講習と同じく、自動車学校で受検する。
 免許証の有効期間満了を迎える日の直前誕生日の160日前から数えて過去3年間で▽信号無視▽通行区分違反▽通行帯違反等▽速度超過▽横断等禁止違反▽踏切不停止等・遮断機立ち入り▽交差点右左折方法違反等▽交差点安全進行義務違反等▽横断歩行者等妨害等▽安全運転義務違反▽携帯電話使用等──の11点のいずれかの違反があった場合に受検しなければならない。検査に合格しないと、その先の免許更新手続きに進むことができないが、繰り返し受けることも可能。
 これと併せて、安全運転サポート車等限定免許も導入される。これまで、高齢運転者の運転免許証の選択肢として、継続(更新)か申請による取り消し(自主返納)の2択であったものを、車両に搭載されている安全機能の向上を踏まえ、その中間的な選択肢として、「普通車はサポート車に限る」旨の条件付きの免許証を申請できることとした。
 サポート車の条件は、衝突被害軽減ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置の性能認定を受けた車か、衝突被害軽減ブレーキの保安基準をクリアしている車のいずれかで、各地域の免許センターなどで申請できる。条件を満たさない車を運転した場合は、違反点数や罰則の対象となる。
 全国的に高齢運転者が原因となる交通事故が後を絶たない状況下、地方では、高齢になっても移動手段としての車を手放せないのが実情となっている。
 大船渡警察署交通課の菅原和郎課長は「サポート車は、踏み間違いや暴走などのリスクを低減でき、自主返納に悩む人の新たな選択肢になる。費用はかかるが、安全には代えられない。より安全に運転を続けるうえでの手段として検討してみてほしい」と話している。(菅野弘大)