ピーカンナッツの苗木550本の植樹完了 市街地そばの低地部3㌶ 生育過程通じPRへ (別写真あり)

▲ 苗木の植樹作業に励む県立大生

 陸前高田市の一般社団法人・ピーカン農業未来研究所(大林孝典代表理事)が3月から高田町の中心市街地そばで進めてきた北米原産の作物ピーカンナッツの植樹作業が、14日に終了した。植えた苗木は全部で9品種550本。東日本大震災後にかさ上げされた市街地から見下ろせる低地部に位置し、市民や観光客に生育する過程を見てもらうなどPRしながら、同市に適した品種選定へ試験栽培していく。              (高橋 信)

 14日の作業には、4月からピーカンナッツを使った新商品の考案に取り組んでいる県立大総合政策学部の3年生約60人が参加。夏ごろ中心市街地にできる産業振興施設で、ピーカンナッツの加工・販売店舗を開業する老舗チョコレートメーカー㈱サロンドロワイヤル(本社・大阪市)の前内眞智子代表取締役社長や、大林代表理事らとともに約60本を植えた。
 植樹地は、震災の津波をかぶった低地部約3㌶。これまで市内小学生や市民に手伝ってもらいながら植えてきた。
 同学部の吉田優成さん(20)は「初めて陸前高田を訪れたが、復興している様子を肌で感じることができた。地域活性化、ピーカンナッツの魅力発信のため、新商品開発に取り組んでいきたい」と話した。
 ピーカンナッツはクルミ科の果樹で、高い抗酸化作用があり、アルツハイマー病予防に有効とされる。市は震災からの農業再生、地方創生につなげようと、東京大、サロンドロワイヤルとの協働で、ピーカンナッツの生産基盤、市場の形成を進めている。
 産地化に向けた試験栽培は令和2年4月、横田町と米崎町の2カ所で開始。今年3月、「ピーカンのまち陸前高田」を発信していくシンボル的なほ場とも位置づけ、高田町の被災低地部での植樹を始めた。
 県立大総合政策学部は本年度、盛岡駅ビルフェザンと連携して実施している学生プロジェクトの一環で、ピーカンナッツをPRする商品考案・開発事業を始動。7月の審査会を経てサロンドロワイヤルに作品を提案し、試験販売などを行う。
 14日の植樹作業に加わった東京大の沖一雄特任教授は「ピーカンナッツが震災からの復興や地方創生、交流人口拡大につながるよう協力していきたい」と意欲を語った。
 大林代表理事は「産業振興施設の来店者に植樹地まで案内し、生育状況を見てもらうなど、サロンドロワイヤルと連携しながら、施設と一体となってPRしていきたい」と展望する。