おいしく育て たかたのゆめ 3年ぶり田植え式 田んぼに 児童の歓声(動画、別写真あり)

▲ 「おいしく育って」。子どもたちが願いを込めながら手で苗を植えて汗を流した

 陸前高田市の地域ブランド米「たかたのゆめ」の田植え式が14日、米崎町のほ場で開かれた。昨年度まで新型コロナウイルス禍の影響で見送り、3年ぶりの開催。地元の子どもたちが泥に足をとられて転びそうになりながら手植えに挑戦した。農業関係者は子どもらの笑顔と歓声が広がる田植え行事の久々の開催を喜びながら、豊作の秋に期待を込めた。
(高橋 信)

 

コロナ禍で昨年まで中止

 

 田植え式は、生産者らでつくる「たかたのゆめ」ブランド化研究会、JAおおふなと、陸前高田市の共催。これまでは同ブランド米の開発、流通などを支援してきた日本たばこ産業㈱(JT)や伊藤忠商事㈱などの担当者らを招待し、市内外の人が交流する場でもあったが、新型ウイルス感染拡大防止のため、市民や地元の関係者のみに絞った。
 田植えに挑戦したのは、小友小の「おともっこ」、米崎小の「りんご学童クラブ」の両放課後児童クラブに通う児童合わせて約30人。同ブランド米の生産を続ける農業・金野千尋さん(71)のほ場約20㌃の一部で、慣れない泥に苦戦しながらも丁寧に植え付けた。
 小友小の及川蓮登君(1年)は「はだしで田んぼに入って気持ちよかった。上手にできたし楽しかった」と笑顔を見せた。
 米崎小の小松望結さん(4年)は「給食でたかたのゆめを食べていて、とてもおいしい。田植えは初めてで、米作りの大変さを知った。お米をもっと味わって食べたいと思った」と関心を寄せた。
 作業の前には、ほ場そばの市ライスセンターで式典が開かれ、同市のPRキャラクター「たかたのゆめちゃん」も駆けつけた。戸羽太市長は「1次産業は、もっともっと頑張っていかなければいけない。将来農業に携わる人が出てくるよう、子どもたちにイベントを楽しんでもらいたい」と期待した。
 たかたのゆめは、JT植物イノベーションセンターに保存されていた種もみ「いわた13号」から誕生。「ひとめぼれ」と「いわた3号」をかけ合わせた東北向け品種で、同社が陸前高田市に種もみを無償提供し、平成25年から販売用の生産が始まった。
 令和3年度は、市内小中学生に親しんでもらおうと、学校給食の米飯を全量たかたのゆめに切り替えた。昨秋には市が友好協定を結ぶサッカーJ1・川崎フロンターレ選手食堂で通年で使われる米に採用された。
 市によると、4年産は約60㌶で作付けし、収量は3年産並みの約270㌧を見込む。
 ブランド化研究会の佐藤信一会長(73)は「3年ぶりに田植え式を開催でき、子どもたちの歓声を聞くことができて本当にうれしい。安全・安心のたかたのゆめを提供するため、生産者一丸となって頑張っていく」と力を込めた。