要望強化へ期成同盟会発足 白石峠改良の早期着工訴え 気仙3市町や遠野市など 「大船渡内陸道」高規格化も

▲ 要望活動強化などを見据えた期成同盟会の設立総会

 大船渡市と遠野市を結ぶ一般国道107号の道路改良や大船渡内陸道路(仮称)の高規格化実現に向け、気仙3市町や遠野市の行政、産業団体による期成同盟会の設立総会が20日、大船渡市のリアスホールで開かれた。同市と住田町境に位置する白石峠での新たなトンネル整備の早期着工や、大船渡と県内陸部間での高規格道化を見据え、これまで以上に組織的な体制を構築しながら、要望活動を強化する。(佐藤 壮)

 

急カーブが続く白石トンネル付近。新トンネルによる抜本改良が急がれる=住田町

 設立総会には、気仙3市町の首長に加え、各市町や遠野市の行政、産業団体の関係者ら23人が出席。県沿岸広域振興局の八重樫浩文局長も達増拓也知事の来賓代理として並んだ。
 戸田公明大船渡市長は「関係機関をはじめ地域が一丸となって、強力に取り組みを進めたい」とあいさつ。議事では規約や役員選出、令和4年度事業計画案、同収支予算案、顧問委嘱を審議し、いずれも原案通り決定した。
 気仙と内陸を結ぶ国道107号は、急カーブや急勾配、峠部の路面凍結など安全・安心な通行を阻害する要因が多く、改良整備は重要課題と位置付けられてきた。
 今年3月、大船渡市と住田町境の白石峠区間で、新たなトンネルを設ける改良整備が事業化。現在の白石トンネル前後にある急勾配・急カーブの解消に向け、ほぼ直線で平たんな新トンネルを設ける内容となっている。
 県は4年度に着手し、用地着手は5年度、工事着手は6年度、供用開始予定は13年度を見据え、総事業費は94億円と試算。一日も早い着手・完成が望まれる。
 また、昨年6月策定の県新広域道路交通計画では、大船渡から釜石自動車道・宮守インターチェンジ付近までの国道107号に重なる区間が、高規格道路としての役割が期待される構想路線に位置付けられた。高規格道路は、中枢中核都市や定住自立圏などブロック都市圏間を連絡する道路を指し、「求められるサービス速度がおおむね時速60㌔以上」としている。
 107号を巡っては、これまでも3市1町の関係団体で構成する「物流等の円滑化と活性化を図る道路ネットワーク検討会」で協議を重ね、改良整備の必要性を訴えてきた。近年の情勢を踏まえ、関係自治体や関係機関が相互に連携・協力をとりながら、要望などに〝厚み〟を持たせていこうと新組織を立ち上げた。
 本年度の計画では▽白石峠区間改良整備の早期着工▽大船渡内陸道路(仮称)の高規格化の早期実現▽107号未改良区間整備の早期事業化──に向け、あらゆる機会をとらえて国や県などの関係機関に対して強力に要望活動を展開する。
 事務局によると、大船渡内陸道路に関しては、起終点の位置やルートなど、沿線各市町の港湾・産業振興や医療体制充実などを見据えながら提案・働きかけを強める方針。未改良区間は、住田町と遠野市境の荷沢峠などを挙げる。
 議案審議後、大船渡商工会議所の米谷春夫会頭は「花巻市や北上市にも参加してもらい、より強固な組織にしては」と提案。神田謙一住田町長は中長期的な展開を見据え、高規格化のあり方に対してしっかりとした研究・調査の重要性を強調した。
 役員、顧問は次の通り。
 ▽会長=戸田公明(大船渡市長)▽副会長=多田一彦(遠野市長)神田謙一(住田町長)▽監事=戸羽太(陸前高田市長)瀧本正德(住田町議会議長)▽顧問=千葉盛、佐々木茂光、工藤勝子(県議)