剰余金9877万円を計上 陸前高田で大船渡市農協通常総代会 第7次中期3カ年計画など決定(別写真あり)

▲ 第7次中期3カ年計画なども決めた通常総代会

 大船渡市農業協同組合(JAおおふなと、猪股岩夫組合長)の第56年度通常総代会は27日、陸前高田市高田町の市民文化会館・奇跡の一本松ホールで開かれた。令和3年度は農業生産基盤の脆弱化や新型コロナウイルス感染症などの課題が山積する中、農家所得の増大、稲作経営に対する負担軽減などの取り組みを進め、剰余金9877万円を計上。4年度は、第7次中期3カ年計画と第8次地域農業振興基本計画も進めながら、持続可能な食料・農業基盤の確立などを目指す。(三浦佳恵)

 

 新型ウイルスの感染拡大予防のために規模を縮小した総代会には、総代500人中、488人(本人出席50人、書面議決書提出438人)と准組合員代表委員2人が出席。
 猪股組合長は、「経営理念でもある地域密着、健全経営、人材育成を引き続き実践し、JAグループが目指す持続可能な岩手農業の確立などを基本目標に、役職員、組織が一丸となって地域や関係機関との連携を深め、事業展開に努めたい」とあいさつ。来賓の祝辞などに続き、議事に移った。
 この日は、▽定款の一部変更▽3年度事業報告と剰余金処分案の承認▽第7次中期3カ年計画と第8次地域農業振興基本計画の設定▽4年度事業計画の設定▽4年度理事および監事に支払う報酬の額の決定──の5議案と付帯決議を原案通り承認、決定した。
 事業報告によると、3年度は農家所得増大の取り組みとして地元大型店舗と提携した夏秋野菜販売促進会を初開催。営農経済改革の一環として盛町の旧本店跡地に葬祭会館ごくよう大船渡会館を建設し、全農エネルギー㈱に業務移管したJASS─PORT大船渡をオープンした。米価下落と資材価格の高騰により、収入が減った稲作農家等への特別支援なども行った。
 信用事業のうち、貯金は「農業メインバンク」「生活メインバンク」機能の強化を図るなどし、年度末貯金残高は計画対比92・3%の1055億1183万円。
 販売事業の農作物をみると、米穀販売は新型ウイルスの影響による中食・外食業務用の需要減少が継続し、キュウリやピーマンなどの夏秋野菜は夏場の販売価格が低迷。農産物全体の販売額は、計画と同額の4億6843万円だった。
 畜産物は、和牛子牛の市場価格が回復し、肉豚の取引価格が堅調に推移したことなどを受け、販売額は計画対比102・7%の10億4289万円。農産物との合計額は、同101・8%の15億1132万円となった。
 事業利益は8472万円、当期剰余金は9877万円を計上。剰余金に繰越剰余金などを加えた当期未処分剰余金は4億1089万円となり、利益準備金に2000万円、経営安定対策積立金に8000万円、出資配当金に1510万円を充て、残る2億9578万6950円を次期繰越剰余金とした。
 第7次中期3カ年計画の実施期間は、本年度から3年間。実践方策には▽持続可能な食料・農業基盤の確立▽持続可能な地域・組織・事業基盤の確立▽不断の自己改革の実践を支える経営基盤の強化▽協同組合としての人づくり▽「食・農・地域・JA」にかかる国民理解の醸成──を掲げ、強固な事業・経営基盤の確立に取り組む。
 同じく3カ年で実践する第8次地域農業振興基本計画は、実践方策に掲げる「持続可能な気仙農業の確立」と「気仙型農業モデルの構築」に基づき、気仙農業の振興を図っていく。
 本年度は、第7次中期3カ年計画の着実な実践に向け、「組合員と地域にとってなくてはならない組織」を目指す事業運営を進める。
 このうち、営農指導事業では持続可能な気仙型農業の構築に取り組み、信頼に応えられる安全で安心な農畜産物を持続的・安定的に供給できる地域農業を支える。
 購買事業においては、利便性の向上を図るため、大船渡市猪川町の旧葬祭センター事務所に大船渡購買センターを移転。経営管理では、経営の改善・合理化や職員育成などに努めていく。
 この日は総代会に先立ち、農協支店管内事業功労者を表彰。小松勝政氏(大船渡支店)、朴澤秀一氏(猪川支店)、熊澤正氏(三陸支店)、泉田茂氏(高田支店)、紺野平氏(世田米支店)の5人をたたえた。