新型コロナウイルス/県が岩手緊急事態宣言を解除 発出から128日で 新規感染者の減少受け

▲ 本部員会議による「岩手緊急事態宣言」の解除を確認した大船渡支部会議

 県は30日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1月23日に発出した「岩手緊急事態宣言」を解除した。県内では今月14日以降、新規感染者数が前の週の同じ曜日を下回る日が続いており、宣言解除の判断基準の一つ「新規感染者数の減少傾向が2週間程度継続した場合」に該当。30日の県本部員会議で県内の感染や医療提供体制などの状況を踏まえ、発出から128日での解除を決めた。
 県内では今年に入り、感染力が強いオミクロン株による新規感染者が急増。学校や教育・保育施設を中心にクラスター(感染者集団)も相次ぎ、全県で感染が広がった。
 県は1月23日、人口10万人当たりにおける直近1週間の新規感染者数が判断基準の「15人」を超えたとして、昨年8月以来2回目となる県独自の緊急事態宣言を発出。県民や来県者に基本的な感染対策の再徹底、感染リスクが高い場所への外出自粛などを求めた。
 その後、1日当たりの新規患者数は4月下旬からいったんは減少したものの、ゴールデンウイーク後半から再び増加した。
 しかし、今月14日以降は前週の同じ曜日を下回る状況が続いており、人口10万人当たりにおける直近1週間の新規感染者数は同日から17日間連続で減少している。
 県は、2週間以上にわたって新規感染者数が減少傾向にあるとして、病床使用率といった県内の医療提供体制、県の専門委員会の見解などを踏まえて本部員会議で緊急事態宣言の解除を協議。30日をもって解除とし、合わせて県の基本的対処方針をオミクロン株の流行期に対応した形に改訂することを決めた。
 宣言解除に当たり、県は「感染防止に向けた重点的な取り組み」をまとめた。▽県民・来県者▽事業所・飲食店▽教育・保育施設▽学校▽福祉施設▽医療機関▽思いやりの気持ちと冷静な行動──の7項目にわたり、場面に合わせた感染対策の徹底を呼びかけていく。
 このうち、県民や来県者にはこれまで同様に基本的な感染対策の再徹底をはじめ、混雑した場所、感染リスクが高い場所などへの外出自粛を求める。国が示した「マスク着用に関する見解」に基づき、屋外や屋内、会話の有無、人との距離が2㍍以上とれているかなど、場面に応じたマスク着用の実践例も示した。
 また、事業所や教育・保育施設、学校、福祉施設には、改めて従業員、児童・生徒、利用者らの健康観察、症状がある子どもの登園・登校の自粛などを引き続き周知していく。
 達増拓也知事は、「岩手緊急事態宣言を解除するが、コロナがゼロになったわけではない。対策への気の緩みが再び感染拡大につながる。手指衛生、換気などの基本的な感染対策の徹底をお願いする」と県民らに呼びかけた。
 同日は大船渡市猪川町の大船渡地区合同庁舎で52回目となる県大船渡地方支部会議(支部長・八重樫浩文沿岸広域振興局長)も開催。出席者らがオンラインで本部員会議を視聴し、感染状況や緊急事態宣言の解除などを確認した。
 気仙の感染状況をみると、前回会議以降の5月13日~30日までに管内では78人(大船渡市60人、陸前高田市9人、住田町1人、大船渡保健所管内8人)の感染を確認。この4分の1に当たる21人は感染経路が不明で、教育・保育施設と職場の計2件でクラスターが発生した。
 緊急事態宣言解除を受け、気仙地域でも引き続き、住民らに体調管理や感染対策の再徹底を呼びかけていくこととした。