安全な避難経路を考察 立根小4年生 津波想定ゲームを体験(別写真あり)

▲ 永野さん(右端)の指導で津波シミュレーションゲームに挑戦した児童ら

 大船渡市立立根小学校(志田知美校長)の4年生32人は5月31日、防災学習の一環で津波シミュレーションゲームを体験した。津波の高さや到達時間を考慮しながら、適切な避難経路などについて考えを巡らせ、日常的な防災対策や早期避難の意識を高めた。
 同校では、学年ごとに地域の状況を踏まえた防災学習を展開。今回は、静岡県の弁護士で、防災士としても活動する永野海さん(44)を講師に迎え、児童らが永野さん考案の津波シミュレーションゲーム「めざせ!津波避難マスター」に挑戦し、地震や津波への備えを学んだ。
 永野さんははじめに、津波から命を守るために▽津波から逃げる行動を起こす(スイッチ)▽安全な経路で安全な場所に逃げる(セーフ)▽避難後も生き残る(セーブ)──の「三つのS」について紹介。「津波が見えてから逃げたのでは遅い」と早めの行動を呼びかけた。
 このあと、児童らがゲームに挑戦。小さなマスで区切られたシート上には、出発地点の学校をはじめ、高さや特徴が書かれた山、橋の架かる川、母がいる自宅、友だちが住む高級マンション、古いビルといった建物、ヘルメット、毛布が置かれた防災倉庫、水や食料が手に入る親戚の叔父さん宅といったアイテム回収地点などが設置され、縦横1マス動くのに1分かかるルール。児童らは、グループごとに適切な避難経路を話し合い、各地点に寄ってアイテムを手に入れながら避難するチームや、時間をかけずに遠くに逃げるチームなどさまざまな意見が出された。
 このあと、七つのサイコロを振り、津波の高さと到達時間を決定。永野さんは「海のそば、川に架かる橋などの水が近い場所や、高層マンション、ブロック塀など、落下、倒壊の危険性がある道は危険。どこに逃げれば安全かを考えることも大切だが、どの道を使って避難するかも考える必要がある」とアドバイス。
 そのうえで「地震で1分揺れたら、津波が来ると思って行動してほしい。災害時に安全な行動をするためにも、日ごろから自分たちの住む地域をよく知っておくことが重要」と呼びかけていた。
 鈴木幸司郎君は「小さい地震でも津波が来る危険性と短い時間で安全に避難することを意識して過ごしたい」と防災意識を高めた様子だった。
 同ゲームは、ゲームに使う資料があれば、誰でも実践可能。志田校長は「地域に合った内容も盛り込みながら、今後も継続して取り組んでいければ」と話していた。