たかたのゆめ 宇宙から帰還  産業振興へ活用に期待 米崎町で田植え 来季の種もみ用に栽培(別写真あり)

▲ 「順調に育ってほしい」。宇宙から戻ってきた「たかたのゆめ」の苗を見つめる関係者

 今後の可能性は宇宙のように無限大──。昨年、国際宇宙ステーション(ISS)に打ち上げられ、帰還した陸前高田市の地域ブランド米「たかたのゆめ」の田植えが5日、米崎町で行われた。今季は栽培用の種もみを確保するための「原種」として育てる。ブランド化研究会(佐藤信一会長)は来季以降「宇宙米」として生産拡大、PRしていく。(高橋 信)

 

ISSから帰還した「たかたのゆめ」の苗

 「宇宙米か。夢があるなあ」。同研究会役員らが声を弾ませた。田植えは平成24年にたかたのゆめを初めて植えた「発祥水田」(約15㌃)の一角で行われ、関係者約10人が苗の健やかな成長を願った。
 同ほ場で委託栽培している米崎町の金野千尋さん(71)は「田んぼは、『宇宙米』版の発祥田にもなった。順調に育ってほしいね」と苗を見つめた。
 今季収量はもみベースで2㌔程度を見込む。来季用の種もみに使い、同研究会が収量増に取り組みながら活用策を検討していく。
 たかたのゆめの種子が宇宙に運ばれたのは、「東北復興宇宙ミッション2021」(同実行委主催)の一環。
 事業は、東日本大震災で被災した東北の復興の姿と支援への感謝をISSから全世界に発信しようとのもの。発災10年に合わせた昨年3月、宇宙飛行士・野口聡一氏が各地から集めた感謝のメッセージを読み上げた動画を公開した。
 このミッションに合わせ、地域活性化や産業創生に役立てるべく、東北3県の被災自治体などから記念品(各10㌘)を回収。昨年6月に記念品を詰め込んだ補給船が米フロリダ州のケネディ宇宙センターからロケットで打ち上げられ、ISSにドッキング。同年7月に地球に帰還し、「宇宙フライト」をした記念品が各自治体に返還された。
 たかたのゆめは、日本たばこ産業㈱(JT)植物イノベーションセンターに保存されていた種もみ「いわた13号」から誕生。「ひとめぼれ」と「いわた3号」をかけ合わせた東北向け品種で、同社が陸前高田市に種もみを無償提供し、平成25年から生産が本格化した。
 たかたのゆめ誕生に尽力したJT元研究員で、ブランド化研究会メンバーの上岡修さん(62)は「宇宙米の生産活動を通じてたかたのゆめの販売促進につながればいい」と期待を込めた。
 佐藤会長(73)は「たかたのゆめが食の陸前高田ブランドをけん引する米となるよう、生産・販売に取り組む中、宇宙米としてもPRできれば可能性がさ