原材料価格高騰が重荷に コロナ影響調査でも顕著 市と商議所実施 「売り上げ減」は57・4%
令和4年6月14日付 1面

大船渡市と大船渡商工会議所は、同商議所会員事業所を対象に4月後半に実施した新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査をまとめた。通算8回目で、約440事業所が回答。今年3月末時点で「影響が継続し、売り上げが減少している」と答えた割合は、57・4%と前回よりも上昇し、再び半数を超えた。今後懸念される影響で売り上げ・受注の停滞、不振を挙げたのは70%で高止まり。さらに原材料価格の上昇を挙げた割合が増え、回復の重荷になっている現状が浮き彫りになった。(佐藤 壮)
新型ウイルスの経済面への影響は、一昨年3月から顕在化。アンケート調査は、地域経済や中小企業の状況を把握しながら適切な支援に取り組み、国や県に必要な要望を行うため実施している。
1月の調査以来8回目で、対象は会議所会員の1587事業所。回答数は437事業所で、回収率は27・5%だった。
結果をみると、経営面で「マイナスの影響が継続している」と回答したのは57・4%。前回の48・1%、昨年11月に調査した前々回の51・5%よりも上昇した。
今回の調査時期中は、オミクロン株の影響が続いていた。県独自の緊急事態宣言に伴う警戒に加え、気仙では3月だけで230人以上が感染。市や県の経済対策が一段落した時期にも重なり、悪化につながったとみられる。
一方、「影響が今後生じる可能性がある」は15・8%で、前回の20・4%から低下。「マイナスの影響が出たが、すでに収束した」は5・7%で、前回の6・5%、前々回の11・7%から下がった。「特に影響はない」は14・7%で微減、「プラスの影響がある」は1・1%で微増だった。
前回に続き、売り上げ規模別=別掲=でも集計。「影響が継続」と回答したうち、1000万円未満は70%で、前回の54・1%から上昇。1000万円~4999万円も62・8%で、5・8ポイント上回った。
影響を受ける事業所を主要業種別でみると、最も高かったのは飲食の95・6%。前回の75・0%から上昇し、前々回の97・6%とほぼ同水準となった。
宿泊業も88・9%で、前回の54・5%を大幅に上回った。このほか、小売業63・7%、飲食などを除くサービス業63・3%、食料品製造業55・0%などが続き、いずれも前回よりも上昇した。
影響が出ている事業所に前年同月との売り上げの比較を尋ねたところ、「50%以上減」と「30%以上減」が20・3%で、「20%以上減」と「10%以上減」はいずれも13・4%だった。「50%以上減」のうち、宿泊業が71・4%で最も高く、農林漁業が66・7%、運輸業が50%だった。 また、売り上げ減以外の理由(複数回答可)で最も多かったのは「燃料費の値上がり」で59・4%。次いで「製品・部品・原材料の値上がり」が52・6%。「資金繰りの悪化」が46・6%、「事業経費の増加」が33・5%となった。
今年12月までの売り上げ見通しは、57・9%が「減少する」と回答。「不変」は33・4%、「増加する」は7・3%だった。業種別では建設業が74・6%と高く、次いで医療・福祉が68・8%、小売業が62・5%となっている。
「新型ウイルスに関連して、今後懸念される影響」は三つまで回答可とした=同。最多は「売り上げ・受注の停滞、不振」の70・0%で、前回比で1・3ポイント低下。続いて「原材料等価格の上昇」が39・8%で、前回よりも12・3ポイント高かった。「資金繰りの悪化」は37・8%で、3・5ポイント減った。
必要とされる支援策の設問も、回答を三つまでとした。これまでの調査と同様に「売り上げ減少事業者への補助金・給付金」が最多で61・3%。次に多かったのは「消費喚起支援」で28・8%、「支援策に関する情報提供」は27・7%だった。
大船渡商議所の米谷春夫会頭は「コロナ禍に加え、原材料や燃料費の圧迫で、経営的に苦しんでいる回答が増えているのは大きな気がかり」と語る。