温暖化対策に3者連携 協働で取り組み推進へ 「J─VER紹介業務契約」「脱炭素社会実現への基本合意書」 町が岩手銀行、ゼロボードと締結

▲ (左から)坂本本部長、神田町長、岩山常務が脱炭素社会実現に向けて連携していくことを誓った

 住田町は17日、「町有林J─VER(オフセット・クレジット)の紹介業務に関する契約」を㈱岩手銀行(田口幸雄頭取)と、「町内における脱炭素社会の実現に向けた基本合意書」を同行と㈱ゼロボード(東京都、渡慶次道隆代表取締役)の3者で、それぞれ締結した。J─VERの普及啓発や温室効果ガス排出量の算定・削減に取り組むもので、関係者が協働で脱炭素社会実現を推進していく。(清水辰彦)


 締結発表会は17日に町役場で開かれ、神田謙一町長、岩手銀行の岩山徹取締役常務、ゼロボードの坂本洋一ビジネス本部長らが出席。神田町長、岩山常務、坂本本部長がそれぞれあいさつし、脱炭素社会実現に向けた取り組み推進へと期待を込めた。
 「J─VERの紹介業務に関する契約」は、同町でも国の認証を受けて発行している「オフセット・クレジット」に関し、岩手銀行がそのネットワークを生かして県内取引先に紹介していくもの。
 オフセット・クレジットは、省エネ機器の導入や森林経営などによって生まれる温室効果ガスの排出削減量と吸収量を「クレジット」として認証し、企業などとの間で売買できる形態にしたもの。温室効果ガス排出量取引の一種で、CSR(企業の社会的責任)など環境問題に取り組む姿勢をPRできるとして、近年、国内外で注目を集めている。
 面積の約9割を森林が占めている同町では、人工林と天然林がおよそ半分ずつの割合で存在。この森林の5割近くはFSC森林認証を取得しており、世界で認められる基準に照らした管理を行っている。
 町有林においては、「森林・林業日本一の町を目指す住田町の間伐プロジェクト」と銘打ち、平成18年から同22年の5年間にスギ人工林の間伐に取り組み、これによって25年に国からクレジットが発行され、環境貢献活動に取り組む企業・団体等に向けて販売している。これまでは、主に首都圏の企業などが購入していたが、今回の紹介業務締結により、県内企業への普及・周知を図っていく。
 一方、3者による「基本合意書」は、ゼロボードが手がける温室効果ガス排出量算定・可視化クラウドサービスを町に無償提供するもの。ゼロボードと岩手銀行、矢巾町が今年5月に基本合意書を締結しており、住田町は県内2例目となる。
 ゼロボードが提供するクラウドサービスは、備品購入や電力、公用車使用などの数値を入力することで、温室効果ガス排出量が可視化されるもの。
 今後、町では役場庁舎内の排出量を算定し、削減への取り組みにつなげていく考え。岩手銀行では町とゼロボード間の総合調整役を務め、町に対してCO2削減に向けた商品やサービスなどを紹介。世界が脱炭素社会へ向かう中、協働のもとでまずは足元から取り組みを進めていく。