アツモリソウ 受け継ごう 町が伝承本・映像制作へ 栽培技術など紹介 来年2月末の完成見込む

▲ 住田テレビスタッフがアツモリソウの映像を収録(5月、上有住)

 住田町は本年度、町花アツモリソウの栽培技術伝承本と映像を制作する。山野での数が減り、栽培も難しいことから希少性が高まるアツモリソウ。町内の保護・増殖団体が長年積み上げてきた知識や技術を後世に伝え、末永く守っていこうとの取り組み。完成は来年2月末を見込む。(清水辰彦)

 

写真提供呼びかけ

 

 アツモリソウは山地の草原に生息するラン科の多年草で、紅紫色の美しい花姿が「山野草の女王」とも例えられる。町内ではカッコウが鳴く5月中旬から6月にかけて花を咲かせることから、「かっこ花」の愛称で親しまれている。町は昭和60年の町制施行30周年の記念行事の一つとして町の花に制定した。
 一方で、自生地である採草地の環境変化や盗掘などによって数が減り、環境省のレッドデータブックでは絶滅危惧種Ⅰ類に分類されている。
 現在、住田町では「種の保存法」により特定国内希少野生動植物に指定されているアツモリソウを町の〝宝〟として位置づけ、増殖事業や保護・保存活動に取り組んでいる。
 町内では長年、アツモリソウ研究会(多田茂会長)がバイオ苗で、かっこ花を守る会(菊池賢一会長)が株分けによって、それぞれ保護・増殖に努める。
 栽培技術伝承本は、両団体が長年研究してきた栽培技術を後世に伝えていこうと作成。これまでアツモリソウに関わってきた団体や人物、研究会や守る会、関連のイベントなどについて振り返りながら紹介する。
 時季ごとの管理方法や生育環境、用土の種類、植え替え、株分け、交配についても掲載。加えて、町営ケーブルテレビ・住田テレビが株分け作業や土、肥料の配分などの〝実践映像〟も収録することで、より栽培方法を分かりやすく伝える。
 2000部を作成し、購入者には映像を収録したDVDを配布する。
 町農政課では「アツモリソウは育て方が難しいと言われているが、誰でも分かり、育てやすくなるものにして、栽培に取り組めるようになれば」としている。
 町では伝承本作成にあたり、地植えで栽培していた時代のアツモリソウの写真などの提供を呼びかけている。問い合わせは同課(℡46・3861)まで。