肥料コストの低減を ㈲気仙環境保全が「醗酵鶏ふんペレット」 製造 地域の〝資源〟活用して

▲ 気仙環境保全が製造している「醗酵鶏ふんペレット」

 住田町の㈲気仙環境保全(松田静代表取締役)は本年度から、新製品の堆肥「醗酵鶏ふんペレット」を製造している。化学肥料の価格が高騰する中、地元農場から発生する鶏ふんを〝資源〟として活用した同ペレットは低コストで製造可能などのメリットがあり、同社では化学肥料の代替、肥料コスト低減策として活用を呼びかけている。(清水辰彦)

 

 同社は平成16年に設立され、世田米に本社を置くブロイラー業・住田フーズ㈱などの農場から発生する鶏ふんの処理業務を展開。18年に上有住の炭化施設が稼働し、鶏ふんを焼却・炭化した「炭化鶏ふん」を製造している。
 町内における養鶏産業の効率化や生産拡大などを見据えて令和2年に設立された「町チキンクラスター協議会」の一員でもある気仙環境保全は、養鶏農家の負担を軽減するとともに、鶏ふん堆肥の利用促進を働きかけようと、3年に世田米子飼沢地内に「堆肥化施設」を建造し、鶏ふんの発酵処理と堆肥化を開始した。
 世界的な穀物需要の増加や肥料原料輸出国の情勢変化によって化学肥料が高騰する中、同社では新たに、発酵処理した鶏ふんを乾燥させてペレット状(長さ4〜10㍉)に加工した堆肥を同施設で製造。年間約7000㌧の原料を処理し、同約4000㌧の鶏ふんペレットを生産する。同ペレットは現在、県内を中心に秋田県などにも出荷している。

気仙環境保全が製造している「醗酵鶏ふんペレット」

 堆肥原料は住田フーズ㈱関連農場から排出された鶏ふんを100%使用。化学肥料価格は世界的な穀物価格の値上がりを受けた需要の増加などによって高騰しているが、鶏ふんペレットは比較的低コストでの製造が可能。販売価格も抑えることができ、肥料の3要素(窒素、リン酸、カリ)のほか2次要素である石灰や苦土なども含まれているという。
 気仙環境保全の佐藤充取締役(58)は「地域資源の有効活用と、地域農業の発展につながっていけば」と話している。
 鶏ふんペレットはJAおおふなとの大船渡購買センター(℡26・4044)、高田購買センター(℡54・2029)、世田米ふれあいセンター(℡46・3664)で取り扱い中。1袋(15㌔)当たりの価格は、当用価格が459円(税込み)、予約価格が349円(同)となっている。