綾里と浪板は開設へ 三陸町の海水浴場 吉浜は安全確保困難で断念

▲ 3年ぶりに開設される綾里海水浴場

 大船渡市は28日までに、市が開設者となっている三陸町内の海水浴場のうち、綾里(白浜)と越喜来浪板は3年ぶりに開設する方針を決めた。吉浜は、海中環境の状況変化で安全確保が難しい現状を踏まえ、今年も見送る。綾里と浪板の開設期間は7月16日(土)~8月14日(日)。海開き式典は、7月16日午前10時に、越喜来浪板で行う。(佐藤 壮)

 

 市が開設する海水浴場は、三陸町の綾里、浪板、吉浜の3カ所。いずれも東日本大震災の津波で甚大な被害を受け、平成23年度以降は開設を見送り、関係機関と連携して防潮堤等の復旧・復興工事、海底がれきの撤去などの安全対策を進めた。
 29年度には、浪板が市内、気仙で震災後第1号として海開きを実施。30年度は吉浜でも海水浴が可能となり、綾里も令和元年に9年ぶりに「海開き」を行った。一方で、同年の吉浜は、監視体制が整わず、開設が見送られた。
 一昨年と昨年の綾里、浪板に関しては、全国的な新型コロナウイルスの感染状況や、海水浴場での感染防止策の難しさなどを考慮し、海開きを見送った。例年、監視や清掃の担い手に地元高齢者が多く、ワクチン接種が完了していない中、地元住民からの感染リスクにかかる懸念の声などを踏まえた。
 本年度は、県沿岸の海水浴場が昨年度から開設している状況や、感染防止策を両立させた形でにぎわいを図る運営方針に、地元関係者から理解を得た。各海水浴場のトイレ、シャワー室には、消毒用のアルコールを設置する。
 吉浜は3年連続で「遊泳想定エリアの安全性確保が困難であること」が理由で断念。本年度もダイバーによる海中調査を行い、波打ち際の砂が陸上に打ち上げられて減少し、依然として危険な状況にあることを確認した。
 傾斜の変化に加え、多数の石が露出し、新たな海中がれきも発見したという。併設のトイレ・シャワー室は、閉鎖を継続する。