トラウトサーモン 新施設から初出荷 盛川漁協の試験事業 今季は5㌧程度(動画、別写真あり)

▲ 養殖施設からトラウトサーモンを水揚げする漁協関係者

 大船渡市の盛川漁業協同組合(佐藤由也組合長)は6月30日、猪川町内に整備した新養殖施設で育成したニジマス「トラウトサーモン」を、初めて市魚市場に出荷した。今季は5㌧程度の流通を計画。秋サケの深刻な不漁が多分野に影響を及ぼす中、同漁協では今後も、育成体制拡大などに向けて研究を続ける。(佐藤 壮)

 

育成体制拡大など見据え

 

大船渡市魚市場に今季初めて出荷され、関心を集めた

 猪川町の施設内では29日、2㌔~0・5㌔程度に育ったトラウトサーモン約1・1㌧を水揚げし、30日朝に市場に届けた。買受人からは「昨年も、刺身やカルパッチョなど使い道が広かった。もう少し大きいのが増えてほしい」といった声が聞かれた。
 入札では、大きさごとにばらついたが、調理しやすく脂乗りも良い2㌔超のサイズは、1㌔750~720円の取り引きに。刺身や切り身用として、県内の飲食店向けに出す動きなどが見られた。
 来週も出荷を続け、今季は5㌧程度の流通を見込む。育成を担当する技術主任・千葉香織さん(38)は「梅雨に入っても雨が少なく、水量や水温管理が難しかった。もっと早い時期から安定的に出せるよう、ペースをつかみたい」と話していた。
 盛川漁協はこれまで、サケ養殖とアユの中間育成をメインに展開。サケ養殖は近年、回帰率の減少などで厳しい状況が続く中、平成29年度からトラウトサーモンの試験事業に取り組んできた。
 ニジマスの養殖魚は、各地で「トラウトサーモン」や地名を冠した「サーモン」などとして売り出され、新たな養殖漁業資源として注目。生食は、刺し身やすしねたとして需要がある。
 昨年夏までは、赤崎町に構える同漁協のサケ・マスふ化場内で育成。育成規模に限界があったため、昨年、猪川町の民有地に、直径15㍍の水槽3基と同10㍍の1基を新たに設けた。近隣を流れる大野川の水を利用し、水車も付けて酸素濃度などを管理している。
 今季出荷分は、昨年11月に民間事業者が二戸市内で育てた幼魚を迎え入れたもの。とくに今年6月は猛暑が続いたことから水温が上昇し、育成管理に苦労したという。
 佐藤組合長は「魚を取り上げる方法など、新施設では課題も多い。今秋には、水量確保も進める予定。この場所では、水槽を新たに2基程度増やすことができるので、さまざまな支援を受けながら、将来的には10㌧規模まで伸ばしたい」と話す。
 県沿岸では近年、秋サケの漁獲量が低迷し、宮古市内などで海面養殖が本格化。全国的には海にとどまらず、陸上で養殖する試みも進む。今後は生産体制の強化に加え、他産地との差別化につながるブランド戦略なども注目される。