ピーカンナッツ普及の拠点に サロンドロワイヤルタカタ本店きょう開業 にぎわい創出にも期待

▲ 16日正午に営業を開始するサロンドロワイヤルタカタ本店

 陸前高田市、東京大学と連携し、北米原産のピーカンナッツの普及、生産基盤構築などに取り組む老舗チョコレート店㈱サロンドロワイヤル(本社・大阪市、前内眞智子代表取締役)は16日、市が高田町に整備した産業振興施設内に、「サロンドロワイヤル タカタ本店」を開業する。スイーツの加工工場を併設し、同店の限定商品も展開していく。ピーカンナッツの魅力発信、にぎわい創出の新たな拠点として期待がかかる。(6面に関連記事、高橋 信)

 

 店は今秋ごろの開館を目指す市立博物館西側に位置する。市によると、鉄骨造平屋建てで、広さは約1750平方㍍。施設の本体整備費は約6億円。施工は陸前高田市の㈱佐武建設、設計は東京都の㈱高池葉子建築設計事務所が請け負った。
 施設使用者のサロンドロワイヤルは、店舗、加工場のほか、キッチンスタジオ、40人程度収容可能な多目的スペースを設置した。従業員数は地元雇用13人を含む約20人。工場では商品の製造を行い、国内初というピーカンナッツの殻をむく機械を導入した。キッチンスタジオはピーカンナッツのレシピ研究や全国レシピコンテストの会場として利用する。
 関西圏を中心に店舗を持つ同社は3年前から、宮城県仙台市、東京・銀座、盛岡市に計4店舗を相次いでオープン。各店舗を線で結び、ピーカンナッツの東北への面的な浸透を目指している。陸前高田は東北圏の中核的な発信拠点と位置づけ、店名に「本店」を加えた。
 世界最大のチョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」で世界の優れたショコラティエ100選にも選出された実績を持つ同社。本店のショーケースに見た目も華やかなチョコレートや焼き菓子を並べて販売する。
 このほかお土産用として、ピーカンナッツの実をチョコレートでコーティングした看板商品に加え、ナッツやドライフルーツを使い、アウトドアなどで気軽に食べられる「贅沢トレイルミックス」、ナッツの香ばしいおいしさを楽しめる「6種のミックスナッツ」などを販売。著名な建築家が設計した市内の施設や同市の画家が手掛けた絵画をデザインした限定パッケージの商品も置く。
 同社は昭和10年創業。国内最大規模でピーカンナッツの加工・販売を手掛け、年間取扱量は約140㌧と国内に輸入される約3分の1を占める。
 ピーカンナッツはナッツ類の中でも収益性が高く、抗酸化作用があり、アルツハイマー病予防に有効とされる。米国を中心に生食や製菓材料などとして普及している一方、日本国内の消費量はアーモンドの100分の1程度と希少性を持つ。
 市は東日本大震災で被災した農業の再生、地域活性化を目的に、同社、東京大学とピーカンナッツによる地方創生プロジェクトを推進。3者は平成29年7月に連携協力協定を締結した。
 前内代表取締役は「ようやく本店のオープンを迎えるが、あくまでスタートに過ぎない。官民連携のピーカンナッツプロジェクトを成功させるには、地元の理解と協力が不可欠で、みんなで盛り上げることが重要だ。そのために本店では『この店に来て良かった』と思ってもらえるよう店づくりを、一過性でなく日々継続できるよう努力していく」と誓う。 
 16日は午前10時から関係者向けのオープンセレモニーがあり、正午に営業を開始する。
 17日(日)以降の営業時間は、午前10時~午後6時。不定休。電話番号は22・9191。