3年ぶり 市街地に神輿 八坂神社のお天王さま(別写真あり)
令和4年7月17日付 8面
陸前高田市高田町の「お天王さま」は15日、同町下宿に鎮座する八坂神社(本多修宮司)で行われた。約2㌔離れた同町本丸の天照御祖神社まで神輿を担いで運ぶ荒々しい「暴れ神輿」が習わしだが、過去2年間は新型コロナウイルス感染拡大防止のため自粛してきた。今年は一部区間に絞ったが、3年ぶりに復活させ、まちなかに男衆の威勢のいいかけ声が響き渡った。(高橋 信)
「さあ3年ぶりなんで、にぎにぎしくいきましょう」。八坂神社で神事を済ませ、JR陸前高田駅まで車で運ばれた神輿の前で、担ぎ手となる「高田町お天王様輿丁の会」(金野英樹会長)の一人が呼びかけ、メンバー約20人が「おぉ」と声を張り上げた。
八坂神社から西側にある天照御祖神社まで担いで運び、時折、神輿を激しく回転させる「暴れ神輿」が伝統だが、昨年までの2年間は「3密」回避のため車で神輿を運んだ。
今年は駅から天照御祖神社までに距離を短縮し、本来の暴れ神輿も封印。それでも輿丁の会の面々は3年ぶりに自ら担いでの神輿渡御を喜び、雨に打たれながら「ワッショイ、ワッショイ」とかけ声を上げた。
金野会長(51)は「本来の規模ではないし、コロナ禍の状況はまだ続くが、久しぶりに担ぐことができ、昨年よりも少し前に進んだ感覚。何よりこうして顔なじみのメンバーが集まることができてうれしかった」と生き生きした表情を見せた。
同町の「お天王さま」は、無病息災、家内安全などを祈願し、500年ほど続くとされる伝統行事。東日本大震災の津波で八坂神社は被災し、神社に保管されていた神輿も流出したが、氏子らはがれきの中から見つかった神輿を修復するなどして行事を継続し、住民の結びつきを確認する場としてきた。
八坂神社別当の柴田拓郎さん(89)は「神社は地域住民の心のより所。コロナで大変な状況が続き、最近また感染者が増えて心配だ。一日も早い収束を願っている」と話した。






