師範直伝の焼き加減習得 県内外から36人が参加 「さんま焼き師」認定試験(動画、別写真あり)

▲ 師範の田端さん㊥から炭火焼きのコツを学ぶ参加者

 大船渡市観光物産協会(齊藤俊明会長)による「さんま焼き師認定試験」の講習は16日、大船渡町のおおふなぽーとで開かれた。参加者は熟練の技を持つ「師範」から焼き方のコツを教わったほか、自らも炭火焼きに挑戦し、香ばしい煙を浴びながら技術習得に励んだ。17日は、筆記試験を予定している。(佐藤 壮)

 

市観光物産協会が主催

 

 試験は、全国に「水産のまち大船渡」「さんまのまち大船渡」を情報発信するとともに、大船渡市ファンの獲得や地域力の強化を図ろうと平成28年にスタート。新型コロナウイルスの影響で一昨年は見送ったが、昨年復活した。累計認定者は475人に上る。
 本年度は36人が参加し、市内だけでなく北海道や佐賀県からの参加も。悪天候の影響で一部予定を変更し、初日は前半に講習を行い、雨が落ち着いた後半に実技を行った。
 講師を務めたのは、平成29年度に第1号のさんま焼き師師範となった田端隆志さん(62)。講義では「試験が終われば、皆さん応援団。しっかり学んで、一緒にサンマを焼いていくことができれば」と語ったほか、配布された資料に沿って、炭火焼きに必要な物品や服装を確認した。
 屋外では、昨年師範代認定を受けた市民らが、火起こしを行い、焼き網をセット。実技では、師範の指導を受けながら参加者が大船渡産のサンマを並べ、焼き加減や身を返す見極めを学んだ。
 資料には「サンマは火でなく、熱で焼け」との〝格言〟もあり、水をまいて炭からの炎を消すタイミングも習得。キツネ色に仕上がったサンマを実際に食べ、師範直伝のおいしさを堪能した。
 東京都世田谷区在住の自営業・宮﨑誠さん(38)は「以前から、サンマを上手に焼きたいと思っていた。中まで火が通っているかどうかの確認は、この講習会で炭火焼きをしないと学ぶことができない。焼いたサンマはふっくらしていて、わたもおいしかった」と語り、笑顔を見せた。
 遠野市出身で、4月に大船渡市職員となった多田尚平さん(22)=大船渡町=は「なかなか自分でサンマを炭火焼きする機会がないので参加した。学んだことで、今後のまちづくりやイベントに参画するきっかけになれば」と話していた。
 17日は、おおふなぽーとで筆記試験を行う。試験内容は▽大船渡市の概要▽市の水揚げ状況▽サンマの水揚げ状況▽焼き方▽客への提供方法──などを予定している。
 合格者には認定証と記念タオルを交付。今後、市や同協会が主催する「さんままつり」などでボランティア参加の依頼もあるという。イベントで腕をふるうことで、大船渡産サンマのPRや地域活性化への貢献が期待される。