回遊創出へ新たな試み キャッセン大船渡で「ソナエマチモリ」 公園と商業施設活用一体的に(別写真あり)
令和4年7月19日付 1面
大船渡市大船渡町の夢海公園などで17、18の両日、㈱キャッセン大船渡(田村滿社長)が主催する「SONAR ET MACHIMORI(ソナエマチモリ)2022CAMPinKYASSEN」が行われた。アウトドアやキャンプを切り口に、地震や津波などに対する防災意識の向上を図る多彩な企画を展開。キャッセン近くの須崎川沿いには併催イベントの一環で特設の飲食・物販コーナーが設けられ、東日本大震災の復興事業で整備された空間で来訪者の回遊創出を探る2日間となった。(佐藤 壮)
「ソナエマチモリ」は、スペインで行われている世界最大級の音楽フェスティバル「ソナー」を意識し、災害に「備える」といった意味も込めて命名。一昨年以来の開催となった。
初日は、キャッセン大船渡やその周辺を巡りながら震災伝承に取り組む防災観光アドベンチャーゲーム「あの日~大船渡からの贈り物~」の体験ワークショップを開催。キャッセンなどが参画するゲームで、1月に試行版を披露し、同日から本格運用を開始した。
各地に散らばったQRボックスを探し、11年前の教訓などを基にした「いきる知恵」を集めながら、高台の避難場所まで歩き、自らの足で逃げる大切さを学ぶ。画面上では「防災行政無線(屋外スピーカー)で津波警報が発令されました。あなたは何をしますか?」などが示され、回答を選択しながら巡る。
家族と一緒に体験した奥州市立南都田小学校4年の小澤陽斗君(9)は、「思ったよりも簡単にできた。地震が起きたら、急いで避難することを学んだ」と話していた。
夢海公園内の芝生では、有料のキャンプエリアを開設。一昨年にはない試みで、カラフルなテントが彩る中で子どもたちが駆け回る姿が見られたほか、17日の日没後には屋外で映画鑑賞を楽しむ「ナイトシネマ」も行われた。
青森県八戸市から訪れた坂本聡さん(57)は「整備された芝生が心地よく、海からの風が涼しくて非常に良かった。もっと利用できる機会が増えてほしい」と語り、笑顔を見せた。
また、橋爪商事㈱(橋爪博志社長)による出展エリアでは、大阪府大阪市に本社を置く太陽工業㈱(能村祐己社長)が取り扱うエアーテント「マク・クイックシェルター」を紹介。電動または手動ポンプによる組み立てで、少人数・短時間設置でき、内部ではエアコン設置も可能で、災害時や感染症の流行時にも生かされる。両日は展示に加え、緊急の退避場所としても活用された。
18日は屋外特設ステージでのライブイベントに続き、トークセッションを開催。大船渡地区消防組合消防士の橋本陸さん(24)や、ロックバンド「FUNNY THINK」でボーカルやギターを担当する金野一晟さん(24)=大船渡町出身、東北大学災害科学国際研究所准教授の柴山明寛氏(45)らが登壇した。
それぞれ発災時の経験などを振り返り、今後の防災に関するヒントを発信。柴山氏は「防災とキャンプは近いものがある。キャンプグッズは防災に役立ち、ファッション性もある。やりやすいところ、身につけやすいところから防災を考えてほしい」と語った。

須崎川沿いには幅広い世代の住民らが来訪
2日間にわたり、キャッセン大船渡内の須崎川両岸では「キャッセンライブビアガーデン」を開催。延べ46事業者が参加し、気仙産の食材を生かしたメニューなどが人気を呼んだほか、川岸の親水広場で水遊びを楽しむ姿も見られた。18日は、芝生広場の特設ステージで野外ライブ「空想野音会plus」も繰り広げられた。
大船渡駅周辺地区の復興整備で誕生したキャッセン大船渡は、平成29年4月に開業。須崎川河口部に位置する夢海公園は、31年春に完成した。近年は新型コロナウイルスの影響を受けているが、持続可能な活気創出や交流人口拡大に向け、駅周辺に整備された空間内で回遊を促す取り組みの重要性が増している。
田村社長は「キャッセンには、単なる商業モールの考えはない。公園を含め〝滞留〟時間をいかに長く生むかが大事。集いやすい場所を作っていかなければ」と、今後を見据える。





