安らぎの花に癒やされ 末崎「中尊寺ハス」見ごろ(別写真あり)
令和4年7月20日付 1面

▲ 開花のシーズンを迎えた中尊寺ハス
「被災地復興のシンボルとなるように」と平泉の中尊寺から株分けされたハスの花が、大船渡市末崎町西舘の畑で見ごろを迎えている。地域団体の手で大事に育てられ、復興の進展とともに少しずつ増えていった「中尊寺ハス」は、極楽浄土を思わせる安らぎの光景を津波浸水域に生み出している。
県道275号の碁石海岸へ向かう途中に咲くこのハスは、平成25年3月に平泉町の中尊寺から株分けされたもの。株を培養・増殖したのち27年に現在地へ移植され、碁石地区復興まちづくり協議会が管理してきた。
泥を多く含んだ池の中からまっすぐに茎を伸ばし、大輪の花を咲かせる様子は神秘そのもの。大きな葉の中央に朝露をたたえるさまも、宝石が生まれるところを眺めるかのようだ。
花は午前9時ごろまでに咲きそろい、午後にはしぼんでしまうため、朝早くから見学に訪れる人たちが後を絶たない。現在はまだつぼみのものもあり、しばらくは開花を楽しめそうだ。
同協議会は畑の近くに駐車場も用意。女性たちが「咲ききったのもきれいだけど、開きかけの花もかわいらしいね」などと会話を弾ませながら畑をぐるりと一周していったり、バイカーがツーリングの途中で愛車を止めて熱心に撮影していくなど、思い思いに見ごろの季節を楽しんでいる。