難民に子ども服届けよう 衣料回収プロジェクト始まる 米崎小などの児童参加 ㈱ファーストリテイリングが展開
令和4年8月4日付 1面

衣料品ブランド「ユニクロ」などを展開する㈱ファーストリテイリング(柳井正社長、本社・山口県)は、全国の児童・生徒の協力を得て使われなくなった子ども服を地域で回収し、難民らに届けるプロジェクト「届けよう、服のチカラ」を展開している。本年度は陸前高田市の米崎小学校(大森亘校長、児童131人)も参加しており、3日に同校で行われた導入の授業には、同校などの小学生3人が参加した。児童らは今後、市内で仲間を増やしながら服回収への協力を呼びかけていく。(阿部仁志)
同プロジェクトは、ユニクロなど衣料品会社を傘下に持つファーストリテイリングが、全国の小中学校、高校を対象に平成25年度から展開しているもの。使われなくなった子ども服の再利用や、児童・生徒の社会貢献への参加機会創出を図る。集まった服は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じて世界中の難民に届けられる。
本年度は、気仙地区で初めて米崎小が参加。同校の地域コーディネーター・山本健太さん(36)から提案があり、同校では、市教委が推進する地域学校協働活動事業「土曜の学習支援活動」の一環にも位置づけて取り組むこととした。
3日は、プロジェクトの導入として、㈱ユニクロ本部サステナビリティ部の佐久間洋さんによるオンライン授業を実施。同校の直井陽那乃さん(6年)と大和田悠斗君(5年)の2人に加え、有志として矢作小の山本暦君(2年)も参加した。
佐久間さんは、「命を守る」「個性を表す」といった服が持つ力や、戦争などで日常を奪われ安全な場所への避難を強いられている世界中の難民について説明。「世界には難民が8000万人もいるといわれ、その半数が子ども」とし、衣類を届けるプロジェクトを通じて「困っている人たちの力になりたい」という思いも語った。
授業を受けた3人は今後、山本さんのサポートも受けながら、服の回収への協力を促す市民向けのチラシを作成、配布する予定。米崎小に限らず、市内のほかの学校にも活動への参加を呼びかけながら、難民支援の輪を広げていきたい考えだ。
服の回収は、準備が整い次第、今月中に始めて10月末まで行う予定。集まった服はファーストリテイリング指定の倉庫へ発送する。
大和田君は「困っている人のためになる活動だと思い参加した。授業を通じて、毎日服を着られる幸せを感じた」と話し、山本君も「集められた服がいろんな場所に届けられるということが分かった。いろんな人に着てもらえる服を集めたい」と意気込んだ。
直井さんは「地域の人に、服がない人たちのことを身近に感じてもらえるような活動がしたい。服を難民の人たちに届けようという思いを参加者みんなで深めていきたい」と話していた。