道中踊り復活 華やぐ港町 コロナ禍乗り越え熱気 三陸・大船渡夏まつり 3年ぶり通常開催(別写真あり)
令和4年8月7日付 1面

大船渡市の「三陸・大船渡夏まつり」は2日目の6日、大船渡町の茶屋前岸壁付近でメイン行事が繰り広げられた。3年ぶりに市民道中踊りが復活し、太鼓や笛の生演奏とともに18団体約530人が息の合った舞を披露。踊り手や沿道に詰めかけた市民らは、中心部に人が集う喜びをかみしめるとともに、新型コロナウイルスの一日も早い影響収束を願った。(佐藤 壮)
「海の祭典」とも呼ばれ、大船渡の夏を代表する一大イベントとして親しまれている同まつりは、市内の行政や事業所、各種団体の関係者らで構成する実行委員会(齊藤俊明委員長)が主催。東日本大震災が発生した平成23年は中止したが、24年には再開し、国内外からの支援に対する感謝と、復旧・復興の歩みを発信してきた。
令和元年に大船渡駅周辺地区の土地区画整理事業基盤整備工事が完了し、茶屋前臨港道路で市民道中踊りなどが行われたが、翌年は新型ウイルスの影響でまつり自体が中止に。昨年は規模を縮小し、海上七夕船の湾内巡航や花火大会のみの開催となった。今年は、通常開催に近い形を目指した。
市民道中踊りには、職域や舞踊グループなど18団体約530人が参加。団体数、参加者ともに令和元年時の半数にも届かなかったが、まつりに華やぎをもたらす浴衣姿の列と、熱気を呼び込む笛や太鼓の生演奏が戻った。
踊り手の間隔を確保し、小道具の受け渡しの手間を省くため、従来の『おおふなと椿音頭』だけでなく『気仙甚句囃子』でもうちわを使うなど、例年にない工夫も随所に見られた。
踊り、生演奏ともに、コロナ禍でも地道に準備や稽古を重ねてきたとあって、参加者は笑顔を交わしながら開催の喜びを分かち合った。
同日は道中踊りに先立ち、茶屋前岸壁では海上七夕船「大船渡丸」でのステージイベントも復活。大船渡市出身の歌手・新沼謙治さんは「自分を育ててくれた人たちへの感謝を」との思いを込め、歌声を響かせた。
初日に続き、大沢桃子さんやアカペラユニットのXUXU、濱守栄子さん、鎌田和昭さんも出演。大船渡・海を愛する会などによる大漁唄『御祝い』に合わせた舞でも活気を呼び込んだほか、おなじみの「ヨーイドコラサ」のかけ声が響き渡った。
臨港道路では、夜の訪れとともに、竹明かりやかがり火の点灯が行われ、幻想的な雰囲気に。海上七夕船の湾内巡航との競演で魅せる花火大会も繰り広げられ、中心市街地から見上げるだけでなく、大船渡町や赤崎町の湾を望む高台からじっくり楽しむ光景も見られた。
キャッセン大船渡エリアや、おおふなと夢商店街の関連イベントも、幅広い世代の住民らが来場。飲食可能エリアは夢海公園などに限定し、にぎわいと感染防止の両立を図った。