東京タワーさんままつり 実行委の解散決定 水産振興に一定の成果 近年の不漁も影響 市内では継続模索の動きも

▲ 令和元年に催された11回目の東京タワーさんままつり

 大船渡市の三陸・大船渡東京タワーさんままつり実行委員会(会長・戸田公明大船渡市長、委員12人)は8日、市役所で令和4年度総会を開き、今年のまつり中止と組織の解散を決めた。平成21年度から11回開催したが、近年、サンマ不漁の影響が続く中、首都圏での知名度向上や水産振興に一定の成果を得たと判断。市内では、これまでの交流を生かしたイベントの継続を模索する動きも出ている。(佐藤 壮)

 

令和元年まで11回開催

 

 実行委は市内の観光、水産、飲食などの各団体で構成し、総会には会員や市職員ら10人余りが出席。
 戸田市長は「一つの区切りをつける必要があるのではないかと考える。協議をお願いしたい」と述べた。
 協議では、事務局から本年度の開催に関して▽新型コロナウイルスの影響収束の見通しが立たない▽深刻な不漁により、サンマの確保が難しくなっている──の理由から中止が提案された。
 さらに、今後もまつりを開催せず、組織を解散する案も示された。サンマ確保の難しさに加え、これまでの開催で設立当初に掲げた「『三陸・大船渡』を広くPRし、知名度アップや水産振興の活性化に寄与する」といった目的を達成した状況などを踏まえたもの。実行委が持つ剰余金は、市と市観光物産協会に分配する。
 出席者から異論は出ず、組織解散が決定。平成21年度からの活動に終止符を打った。
 同まつりは、「三」陸や「サン」マ、東京タワー開業の昭和「33」年と高さ「333」㍍という「さん」のつながりを生かし、大船渡の知名度アップを図ろうと平成21年度にスタート。日本屈指の観光名所を会場に、東日本大震災後も東京側の関係者による応援を受けて休まず継続してきた。
 令和元年9月の開催では、炭火焼きは3333匹を先着順に無料配布し、振る舞い後は1匹200円で有料販売した。会場には特産品販売コーナーなども設け、来場者は約1万1000人だった。
 しかし、一昨年は新型ウイルスの影響で開催を断念。昨年も感染状況を考慮して見送った。
 この間に行われた総会では、開催地との観光面での交流・振興策などが沈静化し、さんま直送便の申し込みが低調な実情に触れたうえで、開催見直しを求める声も出ていた。
 平成21年度以前は、都内で開催されるサンマに関するイベントは、気仙沼産や宮古産による「目黒のさんま」にちなんだ祭りの知名度が高かった。震災後も大船渡産は数量・金額とも本州一の水揚げが続き、「サンマといえば大船渡」が定着しつつある。
 大船渡にとっては、首都圏の消費者に直接PRする先駆け的なイベントでもあり、これまでのつながりを生かした活動を見据え、市民有志による継続に向けた取り組みも出始めている。開催の形などはまだ手探りの状況だが、今後の展開が注目される。