終戦77年 「平和の鐘」響く ユネスコ協が呼びかけ 市内の4寺院で(別写真あり)
令和4年8月16日付 1面

77回目の終戦の日となった15日、大船渡市内の4寺院で大船渡ユネスコ協会(山口康文会長)の呼びかけによる「平和の鐘」行事が行われた。各寺には地域の人々や協会員たちが集まり、国際情勢の緊張も高まる中にあって、恒久平和の願いを込めながら鐘を打ち鳴らした。
平和の鐘を鳴らす活動は、ユネスコの提唱で国連が平成12年に「平和の文化国際年」を定めたのをきっかけに、戦争のない世の中をつくっていくため、一人一人ができることから行動していこうと、日本国内のユネスコ協会が実施しているもの。
大船渡ユネスコ協会では同16年から、終戦の日に合わせてこの活動を続けており、今年も本増寺(大船渡町)、長谷寺(猪川町)、長安寺(日頃市町)、龍昌寺(三陸町越喜来)の4寺院が協力した。
このうち、長谷寺(兼務住職・宮城隆照長圓寺住職)では、地域住民や協会員ら8人が観音堂の前に集まった。ユネスコ歌『手に手をとって』を歌ったあと、一人ずつ鰐口と打鐘を鳴らし、その音が響く中で静かに手を合わせ、戦没者の冥福と恒久平和を祈った。
同寺総代長でユネスコ協会員でもある地元の田村長平さん(85)は、「ここは祈願寺で、出征の人々が古里に残る家族の安全を祈った光景を覚えている」と述懐し、「猪川町だけで80人の出征者が亡くなった。戦争は絶対にしては、させてはならない行為だ」と平和の誓いを新たにした。
ロシアのウクライナ侵攻が続く中にあって、「戦争はすべてを破壊する。一日も早く終わることを心から願い、祈願寺として平和の鐘を鳴らし続けていきたい」と話していた。