コロナ禍も着実に成長 フェンシング選手の佐藤さん(大船渡町出身) 明治大で初の王座戦優勝に貢献

▲ さらなる活躍を誓う佐藤さん

 大船渡市大船渡町出身で、明治大学フェンシング部に所属する佐藤琴美さん(21)=政治経済学部3年=は、6月に行われた全日本学生王座決定戦女子エペの部団体で創部初の優勝に貢献するなど、着実に成長を遂げている。入学直後はコロナ禍で思うように練習できない時期も続いたが、地道に努力を重ねてきた。古里からもエールを受け、個人戦での活躍も誓う。(佐藤 壮)

 

 佐藤さんは、大船渡小時代に「いわてスーパーキッズ」の一員となり、瞬発力の高さなどフェンシングへの適性を見いだされた。大船渡中2年時に国内で選手層が薄いとされるエペ種目を本格的に始め、一関二高時代にはインターハイ個人種目で6位に入った。
 明治大学に進学したが、コロナ禍で約半年間はキャンパスにすら通えない時期が続いた。活動再開後も思うように練習できず、部内感染で大会出場断念も経験。苦難を乗り越え、大学内での週5日の部活動や週末の対外試合、一般世代も所属するクラブチームでの練習を重ね、着実に実力をつけた。
 本年度は学生リーグで2位に入り、日本一を決める全日本学生王座決定戦に出場。関東、関西の各学生リーグの上位1、2位チームがトーナメントで激突した。
 エペ団体戦は、1チーム3人が総当たりで9試合を行い、45ポイント先取か、9試合の合計点が高いチームが勝利する。関東リーグ2位の明治大は初戦、関西リーグ1位の中京大と対戦。序盤に佐藤さんの試合でリードをつくると波に乗り、45─28で快勝した。
 決勝は関東リーグ1位の日本大。1巡目は膠着が続いたが、中盤にリードを広げ、8試合目に立った佐藤さんが5点差を確保。最後は1点差にまで詰め寄られる場面もあったが振り切り、41─38で勝利。創部70年超で初の王座優勝を成し遂げた。
 試合終了直後よりも、OGらに祝福の声をかけられるなどして、日増しに喜びが増しているという。「日大に主力メンバーがいなかったのは大きかったが、部とすれば、優勝は一つの大きな目標だった」と語り、笑顔を見せる。
 公式大会は感染防止で無観客となり、大船渡町内に暮らす両親らが応援に駆けつけることはできない。今月上旬に里帰りし、活躍を報告しながら英気を養った。
 今年5月には、大学生となって初となる海外遠征を経験。現在、国内シニア選手における個人ランキングは20位前後で、来月予定されている日本選手権の結果ではさらに上位に食い込み、トップ選手による合宿への参加や海外大会など鍛錬の機会が広がる。
 これまでの大学生活を「高校時代は、練習相手があまりいなかった。大学では負ける試合も多い。先輩に自分から聞いたり、コーチに指導を仰いだりとか、積極的にコミュニケーションをとるようになった」と振り返る。
 本年度は個人での飛躍に加え、団体でのインカレ制覇にも意欲。「自分の強みは、相手に飛び込む『フレッシュ』。小手回りの攻撃は、精度を高めていかなければいけない。相手の反応を生かすなど、臨機の対応ができるようにいろいろなシチュエーションで練習しなければ」と成長を誓う。
 大船渡アスリート応援団の「公認アスリート」にもなり、古里からも期待を集める。「社会人になっても続けられるぐらい結果を出したい。今は、代表とか五輪を言える状況ではないが、意識できるところまでいけるように」と力を込める。