人材交流や地域の活性化へ 新施設の建設工事始まる 町整備の「仕事・学びの場」

▲ 新施設の工事が始まった「仕事・学びの場」

 住田町が世田米の応急仮設住宅本町団地跡地に整備を計画している「仕事・学びの場」の新築工事が、今月に入って始まった。同団地に建設されていた木造仮設住宅17棟はすでに解体が完了し、現在は新施設の基礎工事が行われている。来年1月中旬の完成、同2月の供用開始を予定。町では施設を運営する「地域プロジェクトマネージャー」と「地域おこし協力隊」の募集も開始しており、新施設を活用した関係人口・交流人口拡大、それに伴う地域活性化、産業創出など多くの波及効果が期待される。(清水辰彦)

 

 町は震災後間もなく、世田米の町営住宅の跡地に火石団地として13戸、旧住田幼稚園跡地に本町団地として17戸、旧下有住小学校校庭に中上団地として63戸の仮設住宅を建設し、気仙地区の被災者を中心に受け入れた。
 このうち、本町団地には最大で17世帯73人が入居し、一昨年4月で全員が退去。町では、仮設住宅が役目を終えるにあたり、町の後方支援や仮設住宅を中心とした震災の記憶・記録を後世に残していくために本町団地跡地への「仕事・学びの場」整備を計画した。
 建設するのは管理棟(29・81平方㍍)、共用棟(64・59平方㍍)、展示棟(29・81平方㍍)が各1棟。オフィス棟、滞在体験棟が各2棟で、オフィス棟はいずれも29・81平方㍍、滞在体験棟が29・81平方㍍と39・74平方㍍となる。総事業費は約1億円。施設には、解体した仮設住宅の部材も用いる。
 共用棟はワーキングスペースとして、パソコンを使用しての仕事が可能で、オンラインで遠方とつないでの講座も開催予定。オフィス棟は町外在住者が仕事場として一時利用できるほか、町民も会議や勉強、仕事のスペースとして活用できる。
 滞在体験棟は、住田を知ってもらうための〝お試し滞在〟に向けて整備。展示棟は、住田型仮設住宅を再現し、内部に震災時の後方支援などといった記録を展示し、後世に伝えていく。
 新型コロナウイルスの感染拡大によって、リモートワークなど従来とは異なる働き方が生まれている中、町ではこうした動きを捉えてサテライトオフィス誘致などを進めることで、交流人口の拡大、町内企業との協働による地域活性化などにつなげたい狙いもある。
 町企画財政課の関口隆政策推進係長は「ようやく形になってくるので、うまく活用して関係人口や町外の方と町民とが交わる場にしていきたい」と話し、「震災の記憶も残すので、気仙地区内の方々にも活用してもらい、震災関連施設とも連携していければ」と震災伝承にも意欲をみせる。
 施設供用開始に向けて、町では「仕事・学びの場」を運営する「地域プロジェクトマネージャー」と「地域おこし協力隊」を各1人募集している。
 業務内容は、都市部の企業に対して、住田町へのサテライトオフィス開設を提案するとともに、施設のお試し利用の推奨、オンラインを利用した多種多様な働き方を知る機会の企画、中高生向け情報や体験コンテンツの提供など。
 同マネージャーは▽積極的な行動力と責任感がある▽地域づくり活動に実績のある団体等への勤務経験者▽起業、創業支援の経験者──に該当する専門人材を求めている。
 一方、地域おこし協力隊は▽地域づくりや起業、創業支援に興味がある▽さまざまなことに意欲をもって積極的に取り組むことができる▽コミュニケーション能力が高い──が要件。
 詳細は町ホームページ内にあるバナー「地域おこし協力隊募集」から確認できる。
 問い合わせは町企画財政課(℡46・2114)まで。