二又地区 1年間の実験経て支え合い交通開始 住民が高齢者を週1回無料送迎 地元コミュニティ推進協が運営

▲ 本格運行初日、二又地区を出発する車両

 陸前高田市矢作町二又地区の矢作地区コミュニティ推進協議会(佐々木公一会長)は1日、住民がドライバーとなり、高齢者を無料で送迎する「支え合い交通」の本格運行を始めた。昨年8月から取り組む実証実験と同じく週1回、矢作─米崎町間を運行し、高齢者の移動を地域で支える。(高橋 信)

 

車に乗り込む高齢者

 矢作町の旧陸前高田市農協矢作支所そばで同日、出発式が行われ、住民や市関係者ら約30人が出席。戸羽太市長は「高齢化し、免許を返納する人が増えて買い物や通院の時の移動をどうするのかというのは、大きな課題。支え合い交通を通じて皆さんが地域に出て笑顔になる機会が増えてほしい」と期待した。
 同日は高齢者3人が利用。出席者に見送られながら、会場をたった。
 運行日は毎週木曜日。午前9時に出発し、竹駒町、高田町の商業施設、金融機関を経由し、米崎町の商業施設までを1往復する。利用登録者は現時点で16人。二又地区に住んでいて、移動に困っている高齢者らを対象とし、一人で車に乗り降りできるのが条件。自宅そばで乗せる。
 運賃は変わらず無料で、ボランティアドライバーは地元の9人が担う。車両は同市の電気自動車(EV)レンタカー会社から、運行のたびに7人乗りをレンタルする。
 市によると、昨年8月から今年8月までの実証実験では41回運行。利用者は延べ103人で、1便当たり平均2・5人だった。地元から運行の継続を求める声が相次いだことなどを踏まえ、本格導入に踏み切った。
 今月から来年3月までの車両レンタル料など本年度経費は、約42万円を見込む。市からの補助金を充てることとしている。
 同市では高齢化を背景に、高齢者の移動手段確保が深刻な課題となっている。住民が高齢者の移動を支える「支え合い交通」は、横田地区で最初に導入。町民有志でつくる横田町交通研究会が昨年4月から週1回、「らいじん号」と名付けた乗り合い車両を運行している。
 今春には、米崎町上浜田地区が地域で車を共同利用する「コミュニティ・カーシェアリング」を本格運行。地域で移送サービスを支え合う取り組みは、二又地区が市内3例目となった。
 佐々木会長(73)は「ドライバーの協力を受け、本格運行に移行できることとなった。地域の足として役立つことを願う。利便性を高めていけるよう検討していく」と話した。