補正予算など13議案可決 市議会定例会 電気料高騰の補てん費計上

▲ 本年度一般会計補正予算など議案13件を可決

 陸前高田市議会9月定例会は13日、決算等特別委に審査が付託された本年度補正予算案など議案13件を原案通り可決した。燃料費高騰に伴う電気料金の上昇が市有施設の維持管理費にも影響を及ぼしており、一般会計補正予算には電気料増額分約6520万円を盛り込む。子育て世帯を対象に、18歳以下の子ども1人当たり3万円を配る臨時支援金は今月末の支給開始を目指す。(高橋 信)

 

 可決されたのは、補正予算案7件と条例案6件。一般会計補正予算は、歳入・歳出に54億2906万円を増額し、補正後の総額をそれぞれ226億9658万円とした。
 このうち、主な歳出は▽財政調整基金積立金42億2939万円▽子育て世帯臨時特別支援金6549万円▽公共施設の電気料増6522万円▽津波ハザードマップ作成、避難誘導標識設置業務委託料1008万円▽マイナンバーカード普及促進業務委託料239万円──など。
 公共施設の電力は、市などが出資して令和元年6月に設立した地域電力会社・陸前高田しみんエネルギー㈱から供給されている。補正予算における電気料増は、電力市場価格の高騰のほか、燃料価格増を電気料金に転嫁する燃料調整費の上昇により、本年度当初予算でまかないきれないため計上した。
 一般会計補正予算案を巡る討論では、大和田加代子議員(碧い風)が反対の立場を表明。▽電力価格高騰に伴う電気料金の算定方法変更の説明がない▽陸前高田しみんエネルギーの経営状況に関する説明がない▽他社との比較などを検討したというが、それらの内容の具体的説明がない──と理由を挙げ、「競争性、透明性、経済性などが重要視される地方自治体の調達の基本から鑑みると到底容認できない」と訴えた。
 一方、伊勢純(日本共産党)、畠山恵美子(翔成)の2議員が賛成の立場から討論。畠山議員は「補正予算のうち電気料の増額だけを取り上げ、反対するのは論理の一貫性に欠けている。補正予算に反対なのであれば修正案を提示すべき。そうせずに反対するのは補正予算に盛り込まれているほかの支援策や事業を阻害することになる」と指摘した。
 採決の結果、議長と欠席議員1人を除く16人のうち、賛成13、反対3で同予算案は原案可決された。
 子育て世帯への支援金は、長引くコロナ禍や物価高騰などの影響を受ける家計の負担軽減策。県の補助制度に、市独自の支援を上乗せし、所得制限を設けずに新生児から高校生までに1人当たり3万円を支給する。支給先は1428世帯の子ども2143人を見込む。
 財政調整基金への積立金42億2939万円は、多くが復興財源として国から措置された交付金などの執行残で、3年度末までにハード面の復旧が一段落したため、いったん積み立てる。国との調整後、国庫返還金が確定した段階で基金から取り崩して返還する。
 可決された条例改正のうち、市消防団員の定員、任免、給与、服務等に関する条例の一部改正は、団員の定数や処遇改善を図るもの。定数は865人から639人に縮小し、階級別の報酬は班長を1万2200円増の年額4万1000円に、団員を1万3000円増の同3万6500円に引き上げる。団員の負担軽減のため休団制度も新設した。来年4月1日から施行するが、新定数のみ10月1日から適用する。