広田湾産イシカゲ貝 初輸出 陸前高田企画㈱と漁協 友好国シンガポールのすし店へ(別写真あり)

▲ シンガポールで木村店主㊧にPRした村上代表取締役

第1便として空輸したイシカゲ貝

 陸前高田市の陸前高田企画㈱(村上清代表取締役)と広田湾漁協(砂田光保組合長)は、同市特産の広田湾産イシカゲ貝の海外輸出に乗り出した。市が国際交流を続けるシンガポールでのPRが実り、同国内の高級すし店で使われることとなった。今後は米国をはじめ海外への販路開拓やカキなど取扱品目の拡大を狙う。 (高橋 信)


イシカゲ貝を取り扱うのは、シンガポールの商業中心街にある高級すし店「鮨来村」(木村共男オーナー兼店主)。陸前高田企画によると、ミシュランガイドで一つ星に輝く人気店で、木村店主は今月下旬、陸前高田市を訪れ、イシカゲ貝の養殖場の視察も行った。
 第1便のイシカゲ貝約2㌔は28日に発送し、東京・豊洲経由で空輸。30日未明に現地に届く予定という。来年以降も水揚げ期間中

の夏から秋にかけて多いときで週2回ペースで、1回当たり約2㌔を送り出す計画だ。
 シンガポールは東日本大震災後、公共施設の整備費を補助するなど、同市への物心両面の支援を展開。同市は東京五輪・パラリンピックで、同国の「復興ありがとうホストタウン」「共生社会ホストタウン」になり、支援への感謝を発信した。高田町の市コミュニティホール前にはシンガポール政府公認の「マーライオン像」が建立された。
 双方の交流を後押ししている陸前高田企画は、市の特産品を同国に積極的にPRしてきた。8月には現地で開かれた同市の物産イベント「陸前高田フェア」(市、在シンガポール日本国大使館主催)を運営し、イシカゲ貝をはじめ海や山の幸を使った料理を振る舞い、高品質な食の魅力を伝えた。
 イシカゲ貝はクリーム色のプリプリとした身が濃厚で甘く、高級二枚貝として料亭やすし店などで扱われる。広田湾漁協は全国で唯一、同貝を産業用で生産していることから、市などと連携しながらブランド化を推進しており、今年2月、地域ブランドを知的財産として保護する国の「地理的表示(GI)保護制度」にも登録された。
 陸前高田企画は、豊洲市場でも高評価を得ているカキのほか、農産物、地酒の輸出も目指す。本年度内には米カリフォルニア州でのPR事業を実施する。
 村上代表取締役は「陸前高田市でしか生産されていないイシカゲ貝を認めてもらい、うれしい限り。海外への販路開拓の第一歩が、友好国であるシンガポールで実現したのも意義深い。陸前高田の経済に寄与していけるよう海外にも積極的にアピールしていく」と力を込める。