米粉シフォンケーキ誕生 小麦価格高騰受け開発 町農政課とeat+ 「ふんわり感」そのままに

▲ 5日から販売開始される米粉のシフォンケーキ

 ロシアのウクライナ侵攻、主産地である北米での不作などを背景に小麦価格が高騰している。さまざまな食品価格への影響は大きく、家計や外食産業にも打撃を与えている。こうした中、住田町上有住のお菓子工房「eat+(イートプラス)」(佐藤晃子代表)は、町と連携して従来の小麦粉ではなく、玄米粉を使ったシフォンケーキを開発し、5日(水)から販売する。全国的には米粉を使った取り組みが進んでいるが、県内ではまだ事例が少なく、先進的な商品として注目を集めそうだ。(清水辰彦)

 

あすから販売開始

 

 日本で消費されている小麦粉の約9割は海外から輸入されている。輸入小麦は日本政府が買い付け、国内の製粉会社などに売り渡す仕組み。製粉会社は小麦粉に加工したうえで、パン・麺・菓子などをつくる食品メーカーに卸し、消費者のもとに届く。
 政府が輸入した小麦を製粉会社に売り渡す「政府売渡価格」は、本年度4月期が1㌧当たり7万2530円で、昨年度10月期と比べて17・3%値上がりした。昨夏の高温・乾燥による米国、カナダ産小麦の不作の影響に加え、ロシアの輸出規制、ウクライナ情勢などによる供給懸念が小麦の国際価格の上昇につながっている。
 輸入小麦の価格高騰により、最近では「米粉」に注目が集まっており、需要も拡大してきている。米粉は古くから米菓や和菓子などに使われてきたが、パンやケーキ、麺類など、新たな用途への利用も増えてきている。栄養の面でも良質とされる。
 町では米粉のメリットに着目し、イートプラスとともに今夏から商品開発に取り組んできた。
 原料となる米は、町農政課が事務局を務めている農業振興協議会が地元産を提供。製粉も気仙管内の事業者に依頼した。
 イートプラスは平成25年に開業。看板商品であるシフォンケーキは、ほどよい甘さとふんわりとした食感が広く人気を集めている。米粉には「膨らまない」という課題があったが、佐藤代表は10㌘単位で水分量を調整し、加えるメレンゲを固めにするなど、試行錯誤を重ねた末、玄米100%ながらも小麦粉を使用した時とほとんど変わらない食感にたどり着いた。
 開発に携わってきた町農政課の堀尾昌史課長補佐は「完成度の高い商品になっている。ぜひ多くの人に味わってほしい」と太鼓判を押す。
 米粉のシフォンケーキは、現在販売されているバニラやレモン、オレンジなどの商品に「新シリーズ」として追加される。価格は1個250円(税込み)。店頭のほか、世田米の国道107号沿いにある町特産品販売センター「イーガストすみた」でも販売する。
 佐藤代表は「たくさんの方に食べていただければ。町産米を使っているので、商品を通じて住田のPRにもなれば」と話しており、今後は玄米をローストして風味を加えるなど、さらなる磨き上げも見据える。