海洋実習再開「来年には」 北里大三陸キャンパス 活用検討協で大学側言及
令和4年10月5日付 1面

北里大学と大船渡市の各種団体代表者らで構成する第10回同大学三陸キャンパス活用検討協議会(会長・島袋香子同大学学長、委員24人)は4日、三陸町越喜来の同大学海洋生命科学部附属三陸臨海教育研究センター(SERC)で開かれた。大学側は、他学科と同キャンパスの連携充実に意欲を示したほか、新型コロナウイルスの影響で実現していない三陸での海洋実習は、来年度にも再開を目指す考えにも言及した。
同機関は、東日本大震災後に神奈川県の相模原市内に学部機能を移し、平成26年度からSERCとなった同キャンパスの利活用を検討。大学と地元関係者で25年に組織し、29年度から市などによる同キャンパス早期再開促進期成同盟会と組織・機能を一本化した。
この日は、市内の行政、産業、地域団体、海洋生命科学部の各関係者ら計約30人が参集。一昨年と昨年は島袋学長をはじめ北里大関係者の多くは相模原キャンパスからテレビ会議システムでの参加だったが、今回は出席者が一堂に顔を合わせた。
冒頭、戸田公明市長は「三陸では、水産資源の減少や担い手不足、主力魚種の不漁、貝毒などの課題を抱えているが、地域に根ざした活動拠点があることは、心強い限り」とあいさつ。
島袋学長は本年度に同学部創立50周年を迎えたことに触れ「多くの年月をかけ、この地で海洋生命科学部の基礎が築かれた。これからも一つの拠点として、皆さんと協力したい」と述べた。
また、本年度実現した看護学部生の大船渡での実習に加え、来年4月誕生の新学科・未来工学部データサイエンス学科にも言及。「データサイエンスはいろいろな資源を広く活用する。さまざまな学部が一緒になった活動を」と、さらなる連携に意欲を示した。
引き続き、大学側が令和3年度の連携事業について実績を報告。1~3年生の必修1単位となっている海洋実習は本年度、新型ウイルス感染拡大防止の観点から、神奈川県内の日帰り実習のみで実施した。
本年度も三陸での実施は見送る予定。大学側は「学生からは、実施を望む声が出ている。対策を重ね、できれば来年には小規模であっても行いたい」とし、理解を求めた。
昨年度のSERC施設利用は537人で、前年度から18人増えた一方、1400~1700人台で推移していたコロナ禍前には戻っていない。本年度は8月までで340人となっている。