交流人口拡大へ行動を 三陸道全通を弾みに 大船渡で地域連携シンポ 沿岸7市長ら集う

▲ 今後の交流人口拡大に向けた思いを語り合ったパネルディスカッション

 気仙両市などで構成する三陸沿岸都市会議主催の「交流人口拡大に向けた三陸沿岸地域連携シンポジウム」が5日、大船渡市民文化会館リアスホールで開かれた。昨年12月に三陸沿岸道路が全線開通を果たした中、ネットワークを生かした地域づくりや行動の大切さを発信。会議を構成する7市の市長がステージに立ち、各市の魅力を伝えるとともに、都市間連携充実への意欲も示した。(佐藤 壮)

 

7市長によるマイクリレーも

 同会議は、青森県八戸市と久慈市、宮古市、釜石市、大船渡市、陸前高田市、宮城県気仙沼市の7市で構成。シンポジウムは、各市の観光物産関連団体事務局長、商工会議所専務理事、企画担当課長らで構成する実行委員会が主管した。
 三陸道の沿線地域が一層連携を強め、雄大な自然や歴史、風土食、復興のレガシーなど、多様な地域資源を活用・発信し、一体となって三陸沿岸地域の交流人口の拡大を図っていこうと開催。国土交通省東北地方整備局や青森、岩手、宮城の各県などが後援した。
 青森、岩手、宮城各県から約320人が来場。開催地を代表し、戸田公明市長が「多様な地域資源を発信しながら、一体となって交流人口拡大を図っていきたい。全線開通後では初開催となり、光栄だ」と述べた。
 基調講演では、震災被災地で民間企業が参画する地域活性化プロジェクトを実現させてきた一般社団法人RCF代表理事の藤沢烈氏が「三陸の交流人口拡大に向けた5個のキーワード」と題して講演。工場立地や交通量など道路整備のメリットを挙げた一方、県外観光客確保などの課題を指摘し、地域の強みを生かしながら時代に合ったアイデアで取り組む大切さを伝えた。
 今後の方向性として▽フードツーリズム▽ロードツーリズム▽三陸仕事の発掘▽動画プロモーション▽ふるさと副業──を解説。「食や三陸道など、魅力的な資源を生かし切れていない。地域を越えた取り組みや、若い世代がどういった働き方や消費行動をしているかを考えることも大事」などと述べた。
 パネルディスカッションでは、藤沢氏に加え㈱パソナ東北創生代表取締役の戸塚絵梨子氏、㈱キャッセン大船渡取締役の臂徹氏、FIREWORKS㈱CEOの浅間勝洋氏、唐桑御殿つなかん女将の菅野一代氏が登壇。他地域を巻き込んだ取り組みや移住・定住促進、人々を引き寄せる新たな価値づくりなどが話題となった。
 7市長によるマイクリレーでは、それぞれの魅力紹介に加え、交流人口拡大や地域連携の思いを発信。戸田市長は「東北随一の施設」として、BMXのコースなどがある三陸町越喜来の甫嶺復興交流推進センターを紹介したほか、三陸の多様な郷土芸能にも言及しながら「地域資源を手を取り合って磨き上げることが振興につながる」と語った。
 陸前高田市の戸羽太市長は「市全体が防災・減災を学べるフィールド」と同市を紹介。地域に活気をもたらすイベントの重要性を掲げた一方、各市ごとに開催する産業まつりなどの日程が重なりがちな実情を示しながら「自治体間で情報共有していくことを、まずやらなければ」と述べた。