ドローンで苗木運搬 低コスト林業勉強会 町有林で実証

▲ ドローンによる苗木の運搬作業

 気仙地方林業振興協議会(会長・戸羽太陸前高田市長)主催の「低コスト林業勉強会」は5日、住田町内で開かれた。町有林でドローンによる苗木運搬の実証が行われ、林業関係者が植栽などにおける作業効率化やコスト低減といった導入メリットについて理解を深めた。(清水辰彦)

 

 県内では木材需要の高まりによって伐採が進んでいるが、人工林資源の循環利用や森林の公益的機能発揮を図るためには伐採跡地での再造林促進が必要となってくる。再造林にかかる費用は森林所有者に大きな負担が伴うため、再造林は伐採面積のおよそ3~4割ほどにとどまっているのが現状。
 こうした中、今回の勉強会は低コスト林業の推進を図ろうと初めて企画された。県や気仙2市1町、気仙地方森林組合、陸前高田市森林組合の関係者、苗木生産者ら合わせて約20人が参加。現地研修のあと、住田町役場町民ホールで勉強会が開かれた。
 現地研修は世田米合地沢地内の町有林で実施。全国で苗木運搬業務を担う㈱DroneWorkSystem(本社・福島県)の物資運搬用ドローンを使い、高さ50㌢~60㌢のカラマツの苗木合わせて約100㌔を4回に分けて植栽場所へと運ぶ作業が行われた。
 従来、苗木は人力で植栽場所へと運ばれる。急斜面では身体的負担も大きいが、ドローンは高さ約110㍍、水平距離200㍍~270㍍の地点まで1回当たり1分超で苗木を運び、参加者たちは効率の良さを実感した。
 県山林種苗協同組合の副理事長を務める苗木生産業・吉田樹苗の吉田正平代表(65)=住田町下有住=は、「苗木を植栽地に運ぶのは重労働だが、このやり方であれば省力化になるし、若い人が操作できるので林業への若手参入にもつながる。造林が促進されるのではないか」と、可能性を感じた様子だった。
 役場での勉強会では、参加者がドローン操縦資格取得などについても学んだ。町から植栽業務を受託している気仙地方森林組合では、早ければ来年からのドローン導入を検討しているといい、河野文彦参事兼総務課長は「少ない人手で運搬できるので、低コストにつながると思う」と話していた。