気仙の進捗率96・7%に(9月末現在) 防潮堤や道路の県復興事業 大船渡の4カ所が完成

▲ 8月に完成し、現在は自動閉鎖システム導入に向けた工事などが進む大船渡港海岸茶屋前水門

 県はこのほど、東日本大震災で被災した防潮堤や道路など社会資本の復旧・復興状況をまとめた「社会資本の復旧・復興ロードマップ」の最新版(第27回、9月30日現在)を公表した。気仙3市町で県が主体となった復興事業90カ所のうち、最新版では新たに道路、防潮堤計4カ所の完成が追加され、整備が終了したのは87カ所、進捗率は96・7%(前回比4・5ポイント増)となった。残る3カ所の完成予定時期は来年3月と、前回基準日時点(3月31日現在)から変更はなく、県では引き続き作業を進めていく。(三浦佳恵)


残り3カ所の工期変更なし

 

 同ロードマップは、国、県、市町村による震災の復旧・復興事業のうち、県民生活に身近な社会資本の整備に関する情報をまとめたもので、定期的に公表している。
 最新版によると、全県の対象事業箇所数は789カ所と前回から変わらず、このうち9月30日現在で完成したのは781カ所(前回比4カ所増)。進ちょく率は99・0%となった。
 気仙では、すでに国と市町による事業が完了。県の主体事業は、大船渡市が52カ所、陸前高田市が33カ所、住田町が5カ所あり、前回基準日時点で大船渡市が45カ所、陸前高田市と住田町はすべての箇所で完成した。
 大船渡市内で残る事業7カ所のうち、新たに完成した4カ所は、防潮堤などの海岸保全施設が大船渡港海岸の清水防潮堤(赤崎町)と茶屋前水門(大船渡町)。復興まちづくり(道路整備)は県道大船渡綾里三陸線の赤崎工区(赤崎町)、復興道路等が県道丸森権現堂線の下船渡工区(大船渡町)。
 大船渡港海岸の清水防潮堤は、前回基準日時点に予定していた6月から1カ月前倒しの5月に完成。延長820㍍、高さT・P(東京湾平均海面)7・5㍍の防潮堤、遠隔操作でゲートを閉める自動閉鎖システムに対応した水門1基と陸こう9基を整備した。
 茶屋前水門は、延長70㍍、高さT・P7・5㍍の防潮堤と水門1基を設置。8月に完成して津波防護機能を発揮できる状態となり、現在は水門に自動閉鎖システムを導入するための工事が進んでいる。
 県道大船渡綾里三陸線の赤崎工区は、延長4・1㌔。本線は今年3月に完成し、供用を開始していたが、本線から赤崎町大洞地内の森っこ防集団地に通じる取り付け道路(同330㍍)の整備が本年度に持ち越され、6月に完了した。
 県道丸森権現堂線の下船渡工区は、延長2・1㌔。完成箇所から順次供用を進めてきたが、魚市場南側区間(同120㍍)の工期が隣接する防潮堤整備との調整によって延び、7月に全線開通した。
 県道2路線の完成により、県が3市町21カ所で取り組んできた復興事業の道路整備が完了。残る復興事業3カ所はすべて海岸保全施設で、野々田地区海岸ほかの永浜地区と普金海岸(いずれも赤崎町)、綾里漁港海岸(三陸町綾里)の防潮堤となっており、完成は来年3月を見込んでいる。