2度目の挑戦で初戴冠 綾里出身ボクサー・千葉開選手 東洋太平洋バンタム級新王者に
令和4年10月10日付 7面

東京都の後楽園ホールで行われたボクシングの東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ12回戦で、大船渡市三陸町綾里出身のプロボクサー・千葉開選手(29)=横浜光ボクシングジム=が、王者・栗原慶太選手(29)=一力ボクシングジム=をTKOで破り、第52代王者となった。昨年5月の東洋太平洋王座決定戦で判定の末に敗れた悔しさを糧に、2度目の挑戦を実らせた千葉選手は「これからも挑戦者の気持ちで、目の前の試合に向き合っていきたい」と決意を新たにしている。 (菅野弘大)
「今後も挑戦者の気持ちで」
「あしたのジョーメモリアル2022」のメインイベントとして行われた今回のタイトルマッチ。同級12位の千葉選手は、初の防衛戦となった王者・栗原選手に挑んだ。
強打が売りの王者に対し、序盤はよく動いて的を絞らせなかった。「一発をもらわないように意識しつつ、要所で攻めるイメージ通りの入りができた」と、守りだけでなく攻撃の積極性も見せた。4ラウンド終了時点のジャッジは劣勢だったが、中盤以降、序盤でつかんだ距離感を生かして攻勢を強めると、8ラウンドのジャッジで3者ともイーブンとなった。
その後も攻撃の手を緩めず、10ラウンド目に王者の反撃に遭うものの、「崩せている手応えはあった」とひるむことなく立ち向かい、「倒しきるまでの流れが見えた」と確信。最終12ラウンド、疲労が見えた王者に連打でたたみかけたところでレフェリーストップとなり、初の王座を勝ち取った。
昨年行われた、中嶋一輝選手=大橋ボクシングジム=との同級王座決定戦は判定で敗れた。「相手を押し込む場面もあったが、焦って強いパンチを振って疲労してしまった」という課題の改善を図り、初のベルト獲得につなげた。「(タイトル獲得の)ラストチャンスだと覚悟を決めて臨んだ。ベルトを巻くことが目標の一つだった。これまでやってきたことが形になり、夢のような瞬間だった」と回想する。
三陸町綾里で生まれ、その後に移り住んだ沖縄県の高校時代にボクシングと出会った。17歳で上京して本格的に競技を始め、現在は横浜光ジムで研さんを積んでいる。
「覚悟を決め、迷いなく強い気持ちでいけたことが結果につながった」と勝因を分析。祝福の言葉を受け取り、「応援してくれる人たちがとても喜んでくれてうれしかった」と語る。
ベルトを手にし「見える景色も変わってくる」と見据え、「王者にはなったが、自分のやることは変わらない。常に挑戦者の気持ちで目の前の試合に向き合っていく」と淡々と語った千葉選手。「岩手や沖縄など、応援してくれる人たちに喜んでもらえるように、これからの試合で結果を出し続けたい」とさらなる飛躍を誓う。千葉選手の戦績は、18戦15勝(9KO)3敗。