現地で意見交わす ロングトレイル関係者 提言書作成へヒアリング
令和4年10月10日付 2面

環境省から「ロングトレイルの維持管理・運営システム構築に向けた提言書」の作成業務を受託している一般社団法人トレイルブレイズハイキング研究所(長谷川晋代表理事)は8日、陸前高田市を訪問して現地関係者からのヒアリングを行った。国内の長距離自然歩道を未来に残していくために、管理・運営面などについて意見を交わした。
国内の長距離自然歩道は昭和45年に設定がはじまり、総延長は約2万8000㌔にもおよぶ。このうち東北地方沿岸部には東日本大震災後、「みちのく潮風トレイル」の整備が進められ、令和元年に青森県から福島県を結ぶ全長1025㌔が全線開通した。
50年を超える歴史のある国内の長距離自然歩道だが、一部では関連施設の老朽化や維持管理の担い手不足、利用促進の取り組み不足などによって路線維持などに課題もみられる。
今回の提言書作成業務は、近年の社会情勢を踏まえつつ、長い将来を見据えて国内外の先進事例も十分に参考にしながらロングトレイルの位置づけや構想、整備、維持管理などのあり方をとりまとめようと取り組まれている。
8日は同研究所の長谷川代表理事や相澤久美常務理事、環境省自然環境局国立公園課、同省大船渡自然保護官事務所などから約10人が陸前高田市観光物産協会を訪問。同協会職員の多勢太一さん(26)、㈱東海新報社の社員有志でつくる「東海トレイル部」部長を務める清水辰彦記者(34)から、それぞれの活動や今後の展望などについて聞き取った。
この中で多勢さんは、日々の活動に加え、同協会が事務局を務める住民団体「たかたコンテンツらぼ」が制作したみちのく潮風トレイルの「よりみちMAP」や、気仙町のビール醸造所「陸前高田マイクロブルワリー」が今年の夏に限定販売した「高田トレイルエール」、広田小学校の児童らが制作した広田半島ルートのトレイルマップなど、市民参画の取り組みなどを紹介。「地域にも潮風トレイルが広まってきている実感がある」と語った。
聞き取りでは、地域を超えた横のつながりや地域独自のイベントなどについても話題となり、連携や情報共有の重要性についても確認した。
懇談の中では、「取り組みの優良事例をハイカーに選んでもらって表彰するものいいかもしれない」といった意見もあり、運営側と利用者が一体となることが長距離自然歩道を将来に残していくためには必要との認識も深めた。
提言書は本年度末に完成する予定。多勢さんは「官民一体となった運営、仕組みなどが提言書を通じて全国に広まって、ロングトレイルが盛り上がっていけば」と期待を寄せた。