パロス市との絆 今後も 姉妹都市30周年を祝う 黄金の海・ケセンプロジェクト フラメンコステージも(別写真あり)
令和4年10月14日付 7面

大船渡市とスペインのパロス・デ・ラ・フロンテラ市との姉妹都市締結30周年を祝う催しが12日夜、大船渡町のまるしち・ザ・プレイスで開かれた。市民らで組織し、気仙の地域資源や歴史を生かしたまちづくりに取り組む「黄金の海・ケセンプロジェクト」(新沼英明会長)が主催。参加者はフラメンコステージやスペインをテーマとした料理を楽しみながら、今後の発展を誓った。(佐藤 壮)
スペインをテーマとした料理も用意
コロンブスのアメリカ大陸到達500年を記念し、スペインで復元建造された帆船「サンタ・マリア号」は平成3年7月、スペイン・バルセロナを出港。官民一体となった招致活動が功を奏し、日本国内での回航の一環で、大船渡入港が翌年8月11日に実現した。
500年前の出帆地であるパロス市との交流は、バルセロナからの出港に合わせ、大船渡市の一行が訪問したのが発端。4年8月12日、大船渡市内でパロス市関係者らが出席しての調印式をはじめ、多彩な交流イベントが繰り広げられた。
同プロジェクトでは、締結から30年の節目に合わせ、今年に入り多彩な取り組みを展開。「祝う会」は当初、締結日に合わせて計画していたが、新型コロナウイルスの影響で延期していた。
この日は、市内外から約60人が出席。スペインを拠点とするフラメンコダンサーで、希望郷いわて文化大使などを務める中田佳代子さん=大船渡生まれ=らが登壇し、パロス市などでも愛されているフラメンコを披露。節目を祝うかのように「オレ!」と声を上げながら舞い、活気を呼び込んだ。
冒頭、新沼会長は「パロスの方たちにとっても、思いの強い締結となっている。大船渡市でもパロス市にちなんだ通り名をつけるなどして、これからも盛り上げていきたい」とあいさつ。
続いて、パロス市から寄せられた映像を視聴。招致活動などに携わってきた医師の山浦玄嗣氏=盛町=による日本語訳が添えられており、カルロス・ロメロ現市長が30年前に副市長として大船渡市を訪れた思い出や、パロス市内にある「大船渡通り」、締結を機に制作されたモニュメントなどに理解を深めた。
この映像提供の橋渡し役を務めた一人が、中田さんだった。再びステージに上がり「これからも、皆さんの情熱を伝える懸け橋になりたい」と語った。
乾杯後は、小さく切ったパンや野菜などを串に刺して盛り付けた「ピンチョス」や、卵料理の「トルティージャ」をはじめ、スペインをテーマとした料理を味わいながら歓談。30年前に官民一体となった取り組みで帆船寄港を実現させ、今年に入って同プロジェクトが当時の熱意を掘り起こした歩みを振り返りながら、パロス市との交流充実への期待を高め合った。