絆と礎を生かして発展を 歌声に節目の喜び込め 市制施行70周年記念式典 新沼謙治さんの講演も(別写真あり)
令和4年10月14日付 1面

大船渡市の市制施行70周年記念式典は13日、盛町の市民文化会館リアスホールで開催された。市民歌斉唱などに続いて本年度の市政功労者9人を表彰したほか、東日本大震災からの復興に貢献した個人・団体等には感謝状を贈呈。記念講演では、同市出身の歌手・新沼謙治さんが自身の古里への思いを語りながら歌声も響かせ、節目を華やかに祝った。(佐藤 壮)

記念講演で古里の素晴らしさを伝えた新沼謙治さん㊨
式典には、達増拓也知事や横沢高徳参議院議員をはじめとした来賓や、被表彰者、感謝状受賞者、県内外からの招待者ら合わせて約420人が出席。スライド上映では、昭和27年からの同市や三陸町の歩み、東日本大震災からの復旧・復興状況を示した。
黙とう後、さんりく・大船渡ふるさと大使を務めるピアニスト・西村元希さんの伴奏に合わせ、大船渡さんご合唱団のメンバーが出席者とともに国歌と市民歌をそれぞれ斉唱。災害や困難を乗り越え、節目を迎えた喜びを歌声に込めた。
戸田公明市長は「震災で犠牲になられた方々の郷土への思いをしっかりと受け止め、夢と希望を抱きながら健康で心豊かな生活を営めるよう、これまでの絆と礎を糧にまちづくりにまい進する」と式辞。三浦隆市議会議長も今後のまちづくりへの決意を込めてあいさつした。
市政功労として、元行政連絡員の和野多喜夫氏(75)=大船渡町、統計調査員の新沼孝子氏(75)=同、大船渡商工会議所常議員の門田崇氏(73)=盛町、元市農協組合長の新沼湧一氏(75)=日頃市町、元主任児童委員の木ノ下見道氏(81)=同、元保護司の千葉大三郎氏(79)=立根町、医師・学校医の滝田有氏(61)=末崎町、市交通指導隊長の工藤惠市氏(69)=大船渡町、前市消防団副団長の中村亨氏(65)=三陸町越喜来=の9氏を表彰。
引き続き、復旧・復興に向けて継続的な支援を受けてきた全203個人・団体の感謝状受賞者のうち、式典に出席した個人・団体を紹介。壇上では、代表5団体の各関係者に戸田市長が直接感謝状を手渡し、心温まる活動に感謝を寄せた。
達増知事、横沢議員による祝辞のあと、新沼さんが「ふるさと大船渡は今も変わらず」と題して記念講演。独特の素朴で飾らない語り口で時折笑いを誘いながら、大船渡での生活を振り返った。
また、東日本大震災直後、家族の入院で自身も厳しい状況にあった中、被災者を励ますつもりで避難所に出向き、逆に勇気や元気をもらった経験を明かした。「つらい時は、人の親切がものすごくありがたい。どんな時にも感謝を忘れずに。大船渡は私が出発した場所でもあり、帰ってくる場所でもある」と語った。
亡き父親との釣りの思い出も明かし、自身の曲である『盛川』を熱唱。西村さんのピアノ伴奏に合わせた『ふるさとは今も変わらず』では、来場者とともに歌い、さらなる発展を願った。
大船渡市は昭和27年4月1日、気仙郡央の盛、大船渡2町と末崎、赤崎、猪川、立根、日頃市の5村による大同合併(人口3万1597人、5390世帯)で誕生。市制開始から49年後の平成13年11月15日には、隣接する気仙郡三陸町と合併した。
市は記念式典に合わせ、今月13日付で広報特集号を発行。70周年記念事業の一環で20日(木)には「市派遣職員復興報告会」を開催し、全国各自治体などから派遣された職員らを招いて謝意を伝えるほか、さらなる交流充実を誓い合うことにしている。