北限のゆず増産へ園地調査 研究会が気仙両市で初実施 来月から今季収穫 不作懸念「出荷に協力を」

▲ 村上さん㊧からユズの栽培管理状況などについて聞き取り調査する佐々木会長

 陸前高田市の北限のゆず研究会(佐々木隆志会長)は9月から、ユズの増産を見据え、気仙両市で園地調査を実施している。本格的な現地調査は平成25年の発足後初めて。180カ所程度の園地を回り、計画的に増産するための基礎データとする。収量は昨年度、過去最多の10・5㌧を達成したが、本年度は不作の木が多数あり、収量の激減が懸念されている。関係者は11月の収穫開始を前に、「消費者に届けるため、生産者は少量でも出荷してほしい」と呼びかけている。(高橋 信)


 17日は、佐々木会長(62)が広田町字岩倉の生産者・村上武也さん(80)宅を訪問。敷地内に樹齢70~80年のユズの木2本があり、昨季の結実具合や現在の栽培管理状況などを確かめた。
 豊作の表年と不作の裏年を繰り返す隔年結果の果実とされるユズ。村上さん方では昨年度、過去にない大豊作に恵まれ、400㌔近くを出荷した。本年度はその裏年に当たるためか、顕著に実が少ないという。
 毎年、意欲的に出荷しており、模範となる生産者として同会から表彰を受けたこともあるベテランの村上さん。「施肥を行っているわけではないが、収穫やせん定は頑張っている。今年は、これまで見たことがないほど実が少なく、どれだけとれるか心配だ」と不安げだった。
 200年以上前から栽培され、生産地の北限とされる気仙産のユズ。研究会は陸前高田市内の農家や障害者支援施設などで構成し、県内外の物産イベントに出店したり、参画企業などがユズを使って開発した新商品をお披露目する「北限のゆずを楽しむ会」を開くなどして、PRに取り組んでいる。
 最大の課題は、収量確保。大手酒類製造メーカーからも引き合いがあり、人気はあるが、高齢化などを背景に、栽培管理が行き届かない木が目立ち、供給が追いつかない状況が続いている。
 昨年度の収量は前年の約4倍となる10㌧台を突破し、飛躍の一年となったものの、選果・加工作業が追いつかないなど、受け入れ側の人手不足が浮き彫りになった。本年度は、▽生産▽加工(開発)▽販売──など、業務別の5部門を組織内に新設し、戦略的に増産を推し進めていく。
 園地調査はその一環で、佐々木会長を含む生産部門が中心となって展開。今月中の調査終了を目指しており、来月の収穫作業後、データを集計する。同会は令和12年までに年間30㌧達成を目標に掲げている。
 市内外のボランティア「ゆず狩りサポーター」に協力してもらう収穫作業は、11月9日(水)、13日(日)、16日(水)、19日(土)、27日(日)、30日(水)を予定し、3年ぶりに全国から参加者を募る。各日午前10時に高田町のたまご村(旧高田大隅つどいの丘商店街)駐車場に集合。参加無料で、要予約。定員は土・日曜日が25人、水曜日が15人。
 ユズの集荷場はたまご村内に設け、今月24日(月)~12月9日(金)のうち、月・水・金曜日午前10時~正午に受け付ける。持ち込みのほか、研究会に収穫を依頼することも可能。事務局は「今季は数量が大幅に減る見込み。少量でもいいので一人でも多くの生産者に出荷をお願いしたい」と呼びかける。
 佐々木会長は「調査を通じて生産者とのつながりも生まれ、年度内には生産者の集いのようなイベントも開催できればいい。高齢化が深刻で、課題は山積みだが、一つ一つクリアしていきながら、陸前高田、そして気仙に北限のゆずありと思ってもらえるようにしたい」と力を込める。
 問い合わせは、同研究会事務局(℡080・8565・7724平日午前10時~午後4時、メールhokugen.yuzu@gmail.com)へ。